ESJ56 シンポジウム S07
3月18日9:15-12:15 M会場
企画者: 日鷹一雅(愛媛大・農・農山漁村), 大塚泰介(琵琶湖博物館)
生物多様性の概念は今や農村現場に流布するようになり,各地で水田地帯の生物多様性を保全・再生しようとする取り組みがなされるようになってきた。だが,こうした保全・再生事業をよく見てみると,農村にトキ、コウノトリ、メダカ、タガメなどのアイコン生物が戻れば良しとするような,生物多様性偽装とでも言うべき事例になりがちである。このような保全・再生事業の問題点を改善するには,私たち生態学に関わるものが,生物多様性を理解する上で最も重要な基礎であるはずの(人為を含む)環境諸要因と生物群集との関係,および群集構成種間の関係性について,科学的手法とともに未だ総合的な知見を提供しえていないことにも一因がある。今こそ、水田地帯の保全・再生をより良く進めていくために,水田地帯の生物群集について事例および理論の両面から広範に研究を進め,さらにその成果を総合化して事業に生かしていくことが求められている。本シンポジウムでは、水田地帯のミクロ(微生物)からマクロ(動植物)までの生物群について群集解析を進めてきた先駆者にご参集いただき、水田地帯の群集生態学の現状を総括し,今後の研究の発展を占うとともに,今後の保全・再生事業への寄与についても展望したい。
司会:大塚泰介・日鷹一雅
コメンテータ予定:
奥田 昇(京都大・生態学研究センター)
安定同位体を用いた水田生態系の構造と機能の評価方法」
亀田佳代子(琵琶湖博物館)
「水鳥をめぐる景観レベルの食物網解析の試み」
西原省吾(東京大・農)
「野外実験操作による節足動物群集解析」
[S07-1] 水田環境の多様性を微生物から考える 木村眞人(名古屋大・生命農)
[S07-2] 水田に魚を放すと,生物どうしの関係が見えてくる 大塚泰介(琵琶湖博物館)ほか
[S07-3] ギルド構造視点でどこまで水田生物群集を理解できるだろうか? 日鷹一雅(愛媛大・農・農山漁村)
[S07-4] 鳥類からみた群集構造「サシバの採食と水田地帯の景観利用」 東 淳樹 (岩手大・農)