お知らせ
2024年11月12日 12-Nov-2024 |
第11回 国際蛇紋岩植生会議紀要 のための原稿募集について掲載しました Call for Papers for Proceedings of the 11th International Conference on Serpentine Ecology (ICSE2025Kyoto) |
2023年04月26日 26-Apr-2023 |
Open Access出版補助制度について掲載しました |
2024年11月12日 12-Nov-2024 |
第11回 国際蛇紋岩植生会議紀要 のための原稿募集について掲載しました Call for Papers for Proceedings of the 11th International Conference on Serpentine Ecology (ICSE2025Kyoto) |
2023年04月26日 26-Apr-2023 |
Open Access出版補助制度について掲載しました |
今号は、世界の超苦鉄質生態系に関する研究論文を収録した特集号(後半)です。2023年6月12日から16日にかけてフランス・ナンシーで開催された第10回国際蛇紋岩生態学会議のセッションで発表された研究を中心に16報を収録しています。金属・半金属元素の植物から節足動物への移行に関するミニレビューのほか、超苦鉄質土壌内外での植物体内の金属蓄積や真菌・細菌相を比較した基礎研究やファイトマイニング関連の応用研究が掲載されています。(本特集企画・担当編集幹事:阪口翔太)
阪口編集幹事コメント:このミニレビューでは、植物から節足動物への有毒な金属・半金属元素(PTM)の移行を文献調査に基づき論じています。食物連鎖を介した節足動物へのPTMの影響については研究状況が整理されていませんでしたが、このレビューにより、鉱山や工業地帯に比べて農業地帯での研究事例が少ないこと、複数の栄養段階にわたる移行を調べた研究が限られていることが明らかになりました。
編集幹事コメント:ニューカレドニアの蛇紋岩地内外で生育する植物の葉内元素組成を調査した研究です。土壌型を問わず生育する30種の樹木を対象に元素濃度を比較した結果、元素濃度の主な違いは微量栄養素(金属元素)に表れており、主要栄養素は2つの土壌型間で似通っていることが示されました。
編集幹事コメント:南アフリカの蛇紋岩地と非蛇紋岩地で、メタバーコーディングにより真菌と細菌の多様性および群集構造を比較した研究です。細菌の多様性と群集構造に有意差はありませんでしたが、真菌では土壌型の違いに加えて、降水量の多寡も群集構造に影響を与えていることが示されました。真菌の多様性は蛇紋岩地で低く、厳しい土壌環境が特定の真菌に環境フィルター効果を及ぼしている可能性があります。
編集幹事コメント:日本の超苦鉄質土壌、石灰岩土壌および一般土壌から収集された多数の植物標本を対象に、X線蛍光分析によって体内の7元素の濃度を調査した研究です。超苦鉄質土壌由来の植物では他の土壌に比べて特にPとCa濃度が低く、土壌の栄養特性が悪いことが示されました。また元素間の相関解析の結果、P欠乏が植物中のK-S-Pの相関関係に影響を及ぼし得ることが初めて示唆されています。
【副編集長コメント】アリとシロアリは系統的に大きく異なるにもかかわらず、集団レベルで類似した行動を示します。この特性はこれまで多くの研究者を引きつけてきましたが、アリとシロアリの行動の違いをまとめたものは少ないです。本総説は著者らのこれまでの研究をまとめ、データトラッキング法やデータベースなど新しい技術の有効性に加えて、行動観察等の自然史研究の重要性を指摘しています。
【編集長コメント】種子サイズに変異のあるオニグルミを圃場に播種し、18年間(!)栽培して成長や形質を測定した実験です。ニホンリスによる大きな種子の貯食が、オニグルミの更新において重要な役割を担っている可能性が指摘されています。
【編集長コメント】京都・芦生ではシカの食害を受けてタイミンガサが2集団にまで減少し、それぞれが1~少数のクローンだけから成ることを報告しています。シミュレーションで示されるとおり、集団間の交配と域外保全が緊急避難措置になり得ると思います。
【編集長コメント】データに乏しいマダガスカルで、常緑の樹木2種が優占する原生林の毎木調査を報告した論文です。サイズ構造が小径木(75%が胸高直径 <10 cm)に偏っており、6~7ヶ月にも及ぶ長い乾季との関連が指摘されていたり、標高 50 m の差で多様性が大きく異なったり、興味深い点が複数含まれていると思います。
【編集長コメント】昨年のスギ特集(Azuma et al. 2024)でも取り上げられた、3産地に由来するスギの共通圃場実験にもとづく論文です。産地間で見られる細根形質の違いが、既に観察されている成長速度の差と対応した地下部の資源獲得戦略と関連づけて理解できることが議論されています。
【副編集長コメント】【現在、日本を含む多くの地域で耕作放棄地が増えており、管理されていた草地に依存していた植物や訪花昆虫の多様性の低下が懸念されています。本研究はそのような耕作放棄地にウシの放牧を複数年行うことで、それらの多様性が回復することを示しています。今後、排泄物による富栄養化や駆虫薬等の他の生物への影響など放牧の環境負荷も合わせて評価することで、持続的な草原管理システムを提案できるとしています。
今号は、世界の超苦鉄質生態系に関する研究論文を収録した特集号(前半)です。2023年6月12日から16日にかけてフランス・ナンシーで開催された第10回国際蛇紋岩生態学会議のセッションで発表された16報を収録しています。金属元素を高濃度で集積するハイパーアキュミュレーター植物に関する総説のほか、植物体の元素蓄積に関する基礎研究やファイトマイニング関連の応用研究が掲載されています。(本特集企画・担当編集幹事:阪口翔太)
阪口編集幹事コメント:尋常ではない濃度で金属を体内に蓄積する「超集積植物」を50年以上にわたり研究してきたR. Reeves博士による総説論文です。1970年代に初めて超集積植物が発見されてからの研究史を俯瞰したうえで、特定の植物群・金属種・地域について知見がまとめられています。本総説は金属集積を研究する方にとっての必読論文になるでしょう。
阪口編集幹事コメント:Niを超集積するアブラナ科植物に全寄生植物(ネナシカズラ属)が寄生したときの、宿主と寄生者の体内元素濃度を調査した研究です。植物の超集積性の進化には被食防衛が関与したとする説がありますが、この系ではネナシカズラは宿主の元素を選択的に吸収・排除しており、宿主体内の過剰なNiがネナシカズラの感染を防いでいるわけではなさそうです。
阪口編集幹事コメント:多数の自然史標本を蛍光X線分析することで、タカネグンバイ属(アブラナ科)におけるNiとZnの集積植物を探索した研究です。広範囲から収集されている標本コレクションを使うことで、非破壊的かつ効率的に元素プロファイリングを達成しています。
阪口編集幹事コメント:過酷な土壌条件をもつ超苦鉄質土壌では、ストレス耐性のない種が生育することは基本的に難しいのですが、一部で外来植物が入り込んでいる地域もあります。この研究では、世界各地で侵略的植物となっているニワウルシについて超苦鉄質地における元素蓄積を調査した結果、土着のトネリコ類と比べて有害なNiの転流を抑えつつ、Caを効率的に利用していることを明らかにしました。ニワウルシはもともと備わっていた元素利用能を使い、超苦鉄質地に侵入しているようです。
阪口編集幹事コメント:広島県の蛇紋岩地帯に固有の絶滅危惧種(トウヒレン属)の初期生長に影響する要因を調べた研究です。蛇紋岩土壌はCa/Mg比が低く、それにより植物の成長阻害が起きやすいのですが、本種はCa/Mg比が1を大きく下回った条件でも成長が低下しないことが示されました。
阪口編集幹事コメント:北米の蛇紋岩地でNiを高集積するアブラナ科植物とその近縁種をつかい、Niを含んだ濾紙を根の近くに配したときに、集積植物のみ積極的に濾紙の方向へ根を伸ばすことが示されました。一般にNiは植物にとって有毒な元素ですが、それをあたかも意思をもって取り込もうとする集積植物の生態の面白さが表れていると思います。
阪口編集幹事コメント:金属集積植物を栽培し、バイオマスからNiなどの重金属を回収するという「ファイトマイニング」が持続可能な金属採掘法として注目を集めています。この研究ではファイトマイングの効率を上げるために、蛇紋岩土壌に各種溶液を添加したときのバイオマス収量と体内Ni濃度、さらに植物体内の化合物濃度と根の内生菌群集の多様性を調査しています。
阪口編集幹事コメント:これまで植物の金属集積は主に葉組織を対象に調査されてきましたが、この研究は繁殖器官である花に着目しました。分析の結果、タカネグンバイ属の花では、花托と子房にNiとZnが高濃度で沈着することが分かりました。この結果から、種子生産と訪花昆虫に重金属の悪影響が出るのではないかと指摘されています。
富松編集長コメント:なぜ多くの樹種が共存できるのか、なぜ特定の樹種が優占するのか ― このような現象を説明する「植物土壌フィードバック」に関する意欲的な総説です。近年は樹木の菌根型によるフィードバックの違いが注目されていますが、 DNA メタバーコーディングによる土壌微生物の分析が容易になってきたこともあり、今後も大きな進展が期待できるトピックだと思います。
富松編集長コメント:かつて一般的な水田雑草だったタカサブロウの減少には、1940年代に導入されたアメリカタカサブロウとの雑種形成が関与していることが示されています。足元で起こっている変化を地道な全国調査により明らかにした1編です。
兵藤副編集長コメント:森林の下層植生の複雑さは、多くの動物の分布に重要であると考えられます。しかし、ネズミなどの小型哺乳類の生息地のような小規模なスケールで下層植生の複雑さを定量化することは非常に困難でした。本研究では、携帯型レーザースキャナーを使用してその複雑さを測定し、下層植生の複雑さと小型哺乳類の捕獲率に正の関係があることを示しました。このような新しい技術により、生息地の複雑さの定量化や動物の分布のより正確な予測が可能になると期待されます。
兵藤副編集長コメント:地球環境の変動による森林生態系への影響を評価するためには、樹木群集の長期モニタリングが不可欠です。この論文では、日本の27サイト、45の調査プロットでの長期モニタリング結果をデータペーパーとしてまとめています。提供される基礎データは、樹木群集と気候変動やその他の環境要因との関係だけではなく、調査地に生息する動物や微生物との関連など、多岐にわたる研究に大いに活用されることが期待されます。
ER論文賞特設ページはこちら:
Special website for the 24th Ecological Research Paper Award
富松編集長コメント:環境に対する応答の多様性は、生態系のレジリエンスに深く関わっていると考えられています。第11回鈴木賞受賞者による本稿は、(ともすれば複雑な)これまでの研究と今後の課題を分かりやすくまとめた、良質な総説です。重要なテーマであり、学生の皆さんにも広く読んで欲しい1本だと思います。
Editor-in-Chief Tomimatsu's Comments: The diversity of environmental responses is thought to be deeply related to ecosystem resilience. This article by the 11th Suzuki Prize winner is a high-quality review that summarizes the (sometimes complex) research to date and explores future challenges in an easy-to-understand manner. I would especially recommend students to read this paper as it covers an important topic.
兵藤副編集長コメント:この研究は、屋久島の暖温帯林において、非生物的・生物的要因(台風、シカやキクイムシなど)が森林構造に与える影響を23年間の調査に基づいて明らかにしました。森林のダイナミクスを理解する上で、長期調査の重要性を示した貴重な研究と言えます。
Deputy Editor Hyodo’s Comments: This research, based on a 23-year survey, clarified the effects of abiotic and biotic factors (typhoons, deer, bark beetles, etc.) on forest structure in the warm-temperate forests of Yakushima. This is a valuable study that shows the importance of long-term surveys in understanding forest dynamics.
富松編集長コメント:小笠原諸島で在来の昆虫相に深刻な影響を及ぼしているグリーンアノールの防除効果を高めるため、実験結果をもとに音とフェンスを組み合わせた方法が提案されています。人工音が他の野生生物に及ぼす影響を含め、今後も研究の進展を期待したいと思います。
Editor-in-Chief Tomimatsu's Comments: In order to increase the effectiveness of controlling green anoles, which are having a serious impact on the native insect fauna in the Ogasawara Islands, a method that combines audio sounds and fencing has been proposed based on experimental results. I hope that this research will continue to advance, including the effects of artificial sounds on other wildlife.
兵藤副編集長コメント:環境DNA分析と目視調査を組み合わせた方法により、琵琶湖に流入する32河川における回遊魚ハスの産卵期の個体数変動を調査し、その回遊ホットスポットを特定しました。このような基礎的な研究は、保全や河川管理などの応用面においても重要であると考えられます。
Deputy Editor Hyodo’s Comments: Using a method that combines environmental DNA analysis and visual surveys, this study investigated population changes during the spawning season of the migratory fish Hasu in 32 rivers that flow into Lake Biwa, and identified migration hotspots. Such basic research is also considered to be important in applied aspects such as conservation and river management.
富松編集長コメント:研究に AI 技術を取り入れてきた鈴木賞受賞者による論文です。リモートセンシングをはじめ、環境 DNA や、カメラトラップ、録音データ等への技術適用により、生物多様性のモニタリングや生態系の管理へ役立てることが一つの方向性だと言えます。
Editor-in-Chief Tomimatsu's Comments: This paper is by a Suzuki Prize winner who has incorporated AI technology into their research. One direction going forward is to apply technologies such as remote sensing, environmental DNA, camera traps, and recorded audio data to help monitor biodiversity and manage ecosystems.
富松編集長コメント: 105 種の植物を訪花した昆虫 15,127個体の記録に基づく報告です。Biodiversity in Asia では、従来はよく知られていなかった、アジアにおける生物多様性のパターンやプロセスに関する研究・総説を掲載しますので、ぜひご投稿ください。
Editor-in-Chief Tomimatsu's Comments: This report is based on records of 15,127 floral insect visitors to 105 plant species. Biodiversity in Asia will feature research and review articles on patterns and processes of biodiversity in Asia that have not been well-documented in the past, please consider submitting.
富松副編集長コメント:ブナでは古くから系統地理学的解析が行われてきました。本研究では、主に葉緑体ゲノムの解析や生態ニッチモデリングから、茨城県など関東地方の低標高域に点在するブナが氷河期の遺存集団である可能性が高いことを示しています。
Deputy Editor-in-Chief Tomimatsu's Comments: Beech trees have long been studied through a phylogeographical lens. This new study shows, mainly through chloroplast genome analysis and ecological niche modeling, that the beech trees scattered in low-elevation areas of the Kanto region, including Ibaraki Prefecture, are likely remnant populations from the Ice Age.
富松副編集長コメント:多雪地の古民家では、どの樹種の材がどこから切り出され、家屋のどこに使用されたのかを調べた研究です。古民家の解体や高齢化が進むなかで情報が消失しつつありますが、過去の森林利用に関する重要な情報を提供するものだと思います。
Deputy Editor-in-Chief Tomimatsu's Comments: This study investigated tree species use as timber in traditional farmhouses in a heavy snowfall area, and determined where these trees were harvested from, and also where in the farmhouse they were used. This type of information is rapidly disappearing as old houses are being dismantled and the population ages, but I believe this study provides important information about past forest use.
富松副編集長コメント:世界の幅広い種が分析対象となっており、多くの種で生息適地が大幅に減少することが印象づけられる内容です。
Deputy Editor-in-Chief Tomimatsu's Comments: This study analyzes a wide range of species from around the world and provides the impression that suitable habitat for many species will be drastically reduced.
富松副編集長コメント:国内由来の外来種となっている本種が、多様な環境にどのように適応しているのか、更なる研究が期待されます。
Deputy Editor-in-Chief Tomimatsu's Comments: Further research is expected on how this species, which is considered a domestic invasive introduced species in Japan, adapts to diverse environments.
ウェブサイトでの紹介と併せてお読みください。
Please read this article together with an introduction on our website.
https://esj-journals.onlinelibrary.wiley.com/.../ecological_research_paper_award_2022
富松副編集長コメント:海藻藻場の保全に向けて、炭素隔離をはじめとする調節サービスの認知度向上が重要であることを認識させられます。
Deputy Editor-in-Chief Tomimatsu's Comments: Raising awareness of seagrass ecosystem services, including carbon sequestration, is crucial for seagrass conservation.
富松副編集長コメント:水鳥の採食が植物の種間競争を緩和している可能性を観察と操作実験から示しており、地下部(地下茎)の採食に注目している点がユニークです。
Deputy Editor-in-Chief Tomimatsu's Comments: Observation and manipulatory experiments indicate that foraging by waterfowl may reduce interspecies competition among plants. This study is unique in that it focuses on foraging of the underground part (rhizome) of plants.
今号の編集長の一押し:
In tropical rainforests of Southeast Asia, general flowering of dipterocarp trees occurs across multiple families. Describing the spatial extent and temporal dynamics of flowering blooms is necessary to understand climate-vegetation interactions and potential impacts of climate change in tropical forests with high species diversity. In this study, the simultaneous flowering phenomenon that occurred in 2019 was successfully observed by satellite for the first time using high-resolution commercial remote sensing data. This is a report on methodology development that enables highly accurate observation of the species-level phenology of dipterocarp forests over a wide area, making a significant contribution to biodiversity conservation in Southeast Asia.
東南アジアの熱帯雨林では、フタバガキ科の一斉開花現象が複数の科にまたがって起こります。一斉開花の空間的な広がりと時間的なダイナミクスの記載は、種多様性の高い熱帯雨林での気候と植生の相互作用と気候変動の潜在的影響を理解するために必要です。本研究は、高解像度な商用リモートセンシングデータを用い、2019年に発生した一斉開花現象の衛星観測に初めて成功しました。フタバガキ林の種レベルのフェノロジーを広範な地域において高い精度での観測を可能とする手法の開発報告であり、東南アジアの生物多様性保全への大きな貢献です。
プレスリリースはこちら富松副編集長コメント:衛星コンステレーションの利用により熱帯雨林の一斉開花が広域で把握できるようになると、一斉開花を引き起こす気候要因について理解が進むことが期待されます。
Deputy Editor-in-Chief Tomimatsu's Comments: If the simultaneous flowering of tropical rainforests can be understood over a wide area using satellite constellations, it can be expected that the understanding of the climatic factors causing simultaneous flowering will advance.
富松副編集長コメント:九州や伊豆諸島等で問題となっている外来種に関する分析です。DNA データに加えて、気候ニッチが分析されており、本種の分布がさらに拡大する余地が大きいことが指摘されています。
Deputy Editor-in-Chief Tomimatsu's Comments: This is an analysis of an invasive species that is causing problems in Kyushu and the Izu Islands. In addition to DNA data, climatic niches have been analyzed, pointing to significant potential for further range expansion.
今号の編集長の一押しは、
送粉者の捕食は送粉行動を改変することで植物-送粉者共生関係を安定化させる
Pollinator predation stabilizes plant–pollinator mutualisms through the modification of pollinator behavior
Shohei Kawata and Gaku Takimoto
https://doi.org/10.1111/1440-1703.12376
でした。
先行研究により、植物と送粉者の共生関係の安定には拮抗的な要因が大きく影響することが知られていました。しかし、送粉者に対する捕食の効果は、これまであまり注目されていませんでした。捕食により送粉者が失われることと送粉者の行動が変化することに注目し、それらの影響を数理モデルで評価したのが、この論文です。捕食による送粉者の減少と送粉者の行動変化という直接的・間接的な双方の効果により、植物と送粉者の共生関係が安定するという指摘はとても重要です。この指摘は、実証的な研究への新たな視点を提供しており、これも本論文の重要な貢献です。さらに、考察において、著者らのモデルでは、何を検討していないかを明示的に議論しており、この議論が本研究の価値を高めていると私は思います。
Previous research indicated that antagonistic factors greatly affect the stability of the mutualistic relationships between plants and pollinators. However, the effects of pollinator predation have received limited attention so far. This paper focuses on the loss of pollinators due to predation, and changes in pollinator behavior, while evaluating these effects using a mathematical model. It is critical to point out that the mutualistic relationship between plants and pollinators is stabilized by both direct and indirect effects of a decrease in pollinators due to predation and changes in pollinator behavior. These findings provide a novel perspective for empirical research, which is another important contribution of this paper. Furthermore, in the discussion, the authors explicitly discuss factors that they did not consider in their current model, and I believe this discussion adds value to the study.
今号には、特集「特集 さまざまな地域のブナ林の歴史、進化、生態」の前編が含まれます。ここに含まれる2つの総説からは、非常に多くのことを学べます。
This issue includes the first half of the special feature “History, Evolution and Ecology of Beech Forests in Various Regions”. There is a great deal to be learned from the two review papers introduced here.
で議論されていた、日本海側のブナ林林床の常緑の矮性低木の起源が相当に複雑であることは、非常に参考になりました。林床のタケササ類の研究例の少なさの指摘には大いに頷きました。
The origin of the evergreen dwarf shrubs on the forest floor of beech forests on the Sea of Japan side of Honshu, discussed in this review, is quite complex and highly informative. The emphasis on the lack of research on forest floor bamboo shoots is especially relevant.
からも、とても多くのことを学べました。特に、対馬海流がブナの分布にこれほど大きな影響を及ぼしてきたことは、大きな驚きでした。もうすぐに展開される、あの美しいブナ林の新緑を目にしたときに、今年は、後期鮮新世からつながる環境史にも思いを馳せましょう。
This review paper also provides a variety of interesting topics. It was particularly surprising that the Tsushima Current has such a large impact on the distribution of beech trees. When enjoying the beautiful fresh green beech forests that will soon unfold this spring, let’s imagine the historical environment from the Late Pliocene.
このほかの特集企画論文も力作揃いです。ぜひ、ご覧ください。
In addition to these two introduced papers, the other special feature papers are also excellent works. Please take a look.
Ecological Research 編集長
鈴木準一郎
Editor-in-Chief, Ecological Research
Jun-Ichirou Suzuki
富松副編集長コメント: 開葉の早いブナにおいて、地形により異なる晩霜の発生時期に対応して、開葉日の制御が局所適応していることを示す論文です。最長 10年ものフェノロジー観察に基づく力作だと思います。
Comment from Deputy Editor-in-Chief Tomimatsu: This paper shows that in beech trees which open their leaves early, the control of the opening date is locally adapted to correspond to the timing of late frosts, which vary depending on the topography. This is a fantastic work based on 10 years of phenological observations.
富松副編集長コメント:送粉共生系においては「邪魔者」と捉えられるかもしれない捕食者の役割が、系の安定性という視点から評価されています。捕食自体では安定化されないという結論も興味深いです。
Comment from Deputy Editor-in-Chief Tomimatsu: In the pollination mutualistic relationship, the role of predators, which are often regarded as a nuisance, is evaluated from the perspective of system stability. The conclusion that predation itself does not stabilize the system is also interesting.
今号の編集長の一押しは、
特集「機能生物地理学:日本の優占樹種の地理変異から学ぶ」から、
「スギ天然林の遺伝構造と局所適応」
REVIEW: Genetic structure and local adaptation in natural forests of Cryptomeria japonica
Yoshihiko Tsumura
https://doi.org/10.1111/1440-1703.12320
日本では、スギの遺伝的多様性が高く、距離による隔離の効果(IBD)が明瞭に認められ、太平洋側と日本海側では、オモテスギとウラスギがSTRUCTURE解析で分離することを、明確に示した極めて重厚な総説です。 スギは、生態学者にかぎらず、本州以南の日本で生活する日本人にとって、もっとも身近で、林業や国土保全の観点に加えて、花粉症の主要な原因種でもあるので、社会的な影響も大きな樹種です。本特集には、OAとなっている 「序文:スギの機能生物地理学」 PREFACE: Functional biogeography in Japanese cedar. Tsutom Hiura https://doi.org/10.1111/1440-1703.12321 や 「日本列島における最終間氷期以降のスギ(Cryptomeria japonica)の植生史」 REVIEW: Vegetation history of Cryptomeria japonica in Japan since the last interglacial period Hikaru Takahara, Shigeto Ikeda, Naoko Sasaki and Ryoma Hayashi https://doi.org/10.1111/1440-1703.12357 などをはじめ、多様な視点から、スギや杉が生育する環境についての研究が含まれます。今回、これらの論文から、改めて日本の代表的な樹木であるスギについて、多くのことを学び、新鮮な感動を覚えました。一人でも多くの方に、この特集を読んでいただきたいです。
Editor-in-Chief recommends the above paper among the articles of the Special Feature “Functional biogeography: Lessons from the geographic variations in the most dominant tree species in Japan”. In Japan, the genetic diversity of Japanese cedar is high, and the effect of isolation by distance (IBD) is clearly recognized. STRUCTURE analyses showed that the varieties omote-sugi and ura-sugi are clearly geographically separated, each on the Pacific Ocean side and the Sea of Japan side, respectively. This is a very thorough review. Japanese cedar is not only familiar for ecologists but for most people living in Japan in Honshu and southwards. In addition to the viewpoint of forestry and land conservation, the Japanese cedar is also a major causative species of hay fever, so it is a tree species that has a large social impact. From a variety of perspectives, these are researches about the environments in which cedars grow in this special feature (E.g. the Open Access preface and a Review by Takahara). This time, from these papers, I learned a lot about the Japanese cedar, a representative tree of Japan, and had a good impression. I would like as many people as possible to read this feature.
さらに、本号には、大島賞受賞記念論文である
「浮游幼生期を有する海洋潮間帯底生無脊椎動物へのソースーシンク個体群概念の適用可能性」
Applicability of the source–sink population concept to marine intertidal macro-invertebrates with planktonic larval stages
Akio Tamaki
https://doi.org/10.1111/1440-1703.12362
も掲載されています。
陸上の生態系を対象に研究をしている人にとっても、非常に参考になる論文です。丁寧に整理されたglossaryは、専門外の人にはとても有用です。
In addition, this issue contains the Oshima Award commemorative paper “Applicability of the source–sink population concept to marine intertidal macro-invertebrates with planktonic larval stages”. This is a very useful paper also for those who are researching terrestrial ecosystems. A well-organized glossary is included, which is very useful for non-experts.
また、
「遺伝構造解析から明らかになったニホンジカを介したニホンヤマビルの近年の分布拡大範囲:栃木県における事例」
Concordant genetic structures of sika deer and Japanese land leeches suggest that the current range expansion of Haemadipsa japonica is dependent on sika deer migration: A case study from Tochigi Prefecture, Japan
Kaori Morishima, Emiko Fukui and Mineaki Aizawa
https://doi.org/10.1111/1440-1703.12366
は、個人的な長年の疑問に答えてくれる論文でした。大学院生の時、友人から、彼らがフィールドとしていた演習林で「シカをよく見るようになって、ヒルが増えた」と聞きました。妥当な説明でしたが、本当に因果関係なのか、ずっと気になっていました。ある現象に対する理路に矛盾が無い説明は、ともすると検討されずに自明のこととして扱われます。本論文は、直感的な説明を明瞭なデータで支持した研究で、強く印象に残りました。
Furthermore, Morishima et al. is an article that answered a long-standing personal question. When I was a graduate student, I heard from a friend that in the research forest they used as a field, they began to see deer more often, and the number of leeches increased. It was a reasonable explanation, but I've been wondering if it's really a causal relationship. A rationally consistent explanation for a phenomenon is likely to be ignored and treated as self-evident. This paper left a strong impression on me because of the research that supported intuitive explanations with clear data.
他にも多くの優れた論文が掲載されていますので、是非、ご覧ください。
There are many other excellent papers, so please take a look at this issue.
Ecological Research 38巻1号
https://esj-journals.onlinelibrary.wiley.com/toc/14401703/2023/38/1
Ecological Research 編集長
鈴木準一郎
Editor-in-Chief, Ecological Research
Jun-Ichirou Suzuki
富松副編集長コメント:スギ特集の Reviewはどちらも素晴らしいです。
Comment from Deputy Editor-in-Chief Tomimatsu: Both Review Articles on cedars are wonderful.
富松副編集長コメント: 湧水に依存する生物の保全には景観スケールで周辺環境に配慮する必要性があることが示唆されています。
Comment from Deputy Editor-in-Chief Tomimatsu: The study suggests that it is necessary to consider the surrounding environment on a landscape scale in order to conserve water spring-dependent organisms.
富松副編集長コメント: 潜在的には多くのホストがいる中で、ヒルの分散がシカに強く依存していること がDNA データから示されています。
Comment from Deputy Editor-in-Chief Tomimatsu: DNA data shows that leech dispersal is highly dependent on deer, among many potential hosts.
種子生産量の大きな年変動は、ブナをはじめ多くの植物種で知られており、また、研究も精力的に行われています。日本に広く分布するコナラでの成熟種子の年変動の要因を詳細な計測により明らかにした研究が、今号の編集長の一押しとなりました。
Large annual fluctuations in seed production are known for many plant species, including Fagus crenata, and have been actively studied. In this issue, the Editor-in-Chief was strongly encouraged by the research that clarified the factors of annual variation in mature seeds of Quercus serrata –a species widely distributed in Japan–, through detailed measurements.
鈴木編集長コメント:
Hirayamaらが報告した、コナラの個体内における同期的に変動する成熟種子生産の様式はこれまでのコナラ属の報告と矛盾しませんでした。先行研究では、種子生産量の変動の選択機構として、捕食者飽食仮説や受粉効率仮説が示唆されてきました。しかし、コナラでは、花の生産量には大きな年変動が見られない一方で,種子捕食者であるハイイロチョッキリの影響が認められました。そこで筆者らは、コナラの成熟種子生産量の制御機構として、散布前段階での種子へのダメージの重要性を指摘しました。
Comment from Editor-in-Chief Suzuki:
Hirayama et al. reported that the pattern of synchronously fluctuating mature seed production in Quercus serrata was consistent with previous reports. Previous studies have suggested the predator satiety hypothesis and the pollination efficiency hypothesis as mechanisms for that regulate the fluctuations in seed production. However, in Quercus serrata , while there was no significant annual variation in flower production, the impact of a seed predator, the nut weevil, was recognized. Therefore, the authors pointed out the importance of seed damage during the pre-spreading stage as a control mechanism for mature seed production in Quercus serrata .
さらに本号には、今後の周期ゼミの研究では、必読となる文献がオープンアクセス論文として掲載されています。
In addition, this issue contains an Open Access paper that will be an obligatory reading for a future periodical cicadas research:
また、もう一つのオープンアクセス論文も、気候変動に特に敏感とされる高山生態系の植生の19年間の変化を報告している、非常に価値の高い論文です。
Another Open Access paper of great value reports 19-year changes in vegetation in alpine ecosystems, which are considered particularly sensitive to climate change:
鈴木編集長コメント:
著者らは、維管束植物に加え、地衣類・蘚苔類についても調査をし、地衣類・蘚苔類の被度と種数の大幅な減少を記載しました。しかし、これらの変化には、長期的な気候変動の影響は部分的にしか認められませんでした。この理由として、草食のような局所的な非気候要因が、温暖化への植生の応答を相殺した可能性を著者らは指摘しています。シカの食害の影響が顕著な日本の各地においても、参考にすべき重要な論文です。
Comment from Editor-in-Chief Suzuki:
In addition to vascular plants, the authors also investigated lichens/bryophytes and noted a significant decrease in lichen/bryophyte cover and species abundance. However, these changes were only partially attributed to long-term climate change. As a reason for this, the authors point out that local non-climatic factors such as herbivory may have offset the response vegetation to warming. This is an important paper that should be used as a reference even in various parts of Japan where the impact of feeding damage by deer is remarkable.
富松副編集長コメント:
7年間の調査による意欲的な研究で、捕食者により豊凶のようなパターンが生み出されているのは興味深いと思います。
Comment from Deputy Editor-in-Chief Tomimatsu:
Interestingly, in this ambitious study of seven years of research, patterns of the effect of predators were noticed.
富松副編集長コメント:
複数の営巣トラップによる効果を調べている点がユニークですし、送粉者でない生物への影響を含めて評価する視点は重要だと思います。
Comment from Deputy Editor-in-Chief Tomimatsu:
This is a unique study that investigates the effects of multiple nesting traps. I think it is important to evaluate the effects on organisms other than pollinators.
富松裕副編集長コメント
詳細な調査をもとに、野尻湖でコクチバスの卵が捕食されにくいことを示しています。ウグイがコクチバスを敵視して行動を変えるとの報告も既にされており、外来種と共存する生物の種間関係が垣間見えます。
Comment from Deputy Editor-in-Chief Hiroshi Tomimatsu
Based on a thorough research, authors have shown that eggs of smallmouth bass are less likely to be predated in Lake Nojiri. It has already been reported that Japanese dace percieve smallmouth bass as hostile, and changed their behavior.
本号にはアイデアペーパーの特集が含まれます。どれも斬新な発想に基づく研究のアイデアで、非常に刺激的です。8報中5報が、生態系や生物多様性への人為的な影響の評価や理解そして管理に関する研究の提案で、基礎研究としての価値に加え社会的な意義も大きい提案です。
なかでも
Saito. Idea paper: Monitoring and databasing nonnative species to manage establishment debt in aquatic ecosystems
https://doi.org/10.1111/1440-1703.12295
は、屋内の水槽で飼育されている外来種のモニタリングと環境DNA分析に基づくデータベース構築を提案しています。アクアリウムで飼育される生物が輸入される際に、意図せずに導入され、今後定着する可能性のある外来種の定着負債についてはこれまでほとんど注目されていません。しかし、このデータベースにより、外来種の影響をより効率的に管理することが期待できます。社会的な意義の大きい論文だといえるでしょう。
また、富松副編集長は、
Friedman. Idea paper: An envelope model of ecological disturbance
https://doi.org/10.1111/1440-1703.12292
をシンセサイザーにおける波形の制御機能を応用し、撹乱の動態を記述するモデルはユニークで、「アイデアペーパー」として相応しい、と高く評価しています。
This issue includes a Special Feature on Idea Papers. All of them are exciting articles based on novel ideas. Five of the eight articles are proposals for research on the evaluation, understanding, and management of anthropogenic effects on ecosystems and biodiversity, and are of great social significance in addition to their value as basic research.
In particular:
Saito. Idea paper: Monitoring and databasing nonnative species to manage establishment debt in aquatic ecosystems
https://doi.org/10.1111/1440-1703.12295
It proposes a database construction based on monitoring of alien species kept in indoor aquariums, and environmental DNA analysis. Little attention has been paid to the establishment debt of alien species that are unintentionally introduced when aquarium-reared organisms are imported and may become established in the future. However, this database can be expected to manage the effects of alien species more efficiently. It can be said that this is a proposal with great social significance.
In addition, Deputy Editor-in-Chief Tomimatsu recommends:
Friedman. Idea paper: An envelope model of ecological disturbance
https://doi.org/10.1111/1440-1703.12292
A model that describes the dynamics of disturbance by applying the waveform control function of synthesizers is unique, and is highly qualified as an "Idea Paper".
鈴木編集長コメント:
これまで十分な調査が行われてこなかったスリランカの超苦鉄質岩露出部での植物の多様性を、とくに金属高集積形質を示す植物に注目して記載した論文です。「生物の分布やその数量とそれらを決める相互作用に関する科学(Begon, Townsend & Harper, 2006)」という生態学の定義を体現する論文とも言えるでしょう。また、金属高集積形質の可変性の報告や網羅的な葉の化学的性質の記述など、将来の研究テーマの「ネタ」を提供してくれる論文でもあります。
下記リストでは、副編集長によるおススメ論文への一言にもご注目ください。
We would like to introduce the articles published in the latest issue of Ecological Research (Vol.37 Issue 2). In this issue, the full-texts of two articles commemorating the Oshima Award and the Suzuki Award of the Ecological Society of Japan, and an article that clarifies the history of parasitism of Japanagromyza tokunagai flies in Japan for 100 years are available for everyone as Open Access.
This time, the Editor-in-Chief's recommendation is selected from the article type “Biodiversity in Asia”!
This article describes the diversity of plants in exposed areas of ultramafic rocks in Sri Lanka (which has not been sufficiently investigated so far), focusing on plants showing high metal accumulation traits. It can be said that this is a research that embodies the definition of ecology: " the scientific study of the distribution and aboundance of organisms and the interactions that determine distribution and abundance” (Begon, Townsend & Harper, 2006). It is also a research that provides "ideas and materials" for future investigation themes, such as reporting the variability of highly metal accumulation traits and comprehensively describing the chemical properties of leaves.
In the list below, please also pay attention to the comments by the Deputy Editor-in-Chief about the recommended articles.
鈴木編集長コメント:汽水域は他のバイオームと比較して最も生産性の高いバイオームであり、その点からも重要な論文だと言えるでしょう。
富松副編集長コメント:地域知に基づく湖岸再生手法の有効性を検証したもので、自然再生の新たな方向性を示している点が特筆すべきだと思います。
Comments from Editor-in-Chief: Brackish water is one of the most productive biomes compared to other biomes, and it can be said that this is an important paper.
Comments from Deputy Editor-in-Chief: It is noteworthy that this is a verification of the effectiveness of the lakeside restoration method based on regional knowledge and shows a new direction for nature restoration.
イチオシ論文紹介
イチオシ論文紹介
今号の編集長の一押し:
Effects of grazing on underground parts of marsh plants by wintering Middendorf’s bean goose Anser fabalis middendorffii: Its role as a keystone species in plant communities Kyohsuke Ohkawara and Hironobu Tajiri
https://doi.org/10.1111/1440-1703.12392
Comments by Editor-in-Chief Suzuki in English
Kyohsuke Ohkawara and Hironobu Tajiri
https://doi.org/10.1111/1440-1703.12392
This study quantitatively assessed the effects of predation by large birds, which have a significant impact on wetland plant communities that are rapidly declining worldwide, using field surveys and manipulation experiments. Long-term experimental manipulation of the predation by Middendorf’s bean goose, which prey on the subterranean parts of Zazania latifolia and Bolboschoenus fluviatilis, revealed that predation on B. fluviatilis, increases the number of Z. latifolia. It was also shown that the abundance and biodiversity of wetland plant communities were reduced in wetlands where Middendorf’s bean goose were absent. This is important research in considering the conservation of wetlands themselves, and the diversity of their plant communities.
This issue also includes a data article on semi-natural grassland plants.
Akira Noda, Yoko Ohta, Hiroko Yokota, Masahito Inoue, Katsunobu Shirakawa, Taiki Masui, Yoshitaka Takahashi and Jun Nishihiro
https://doi.org/10.1111/1440-1703.12388
In addition, Part 2 of Blue carbon dynamics in coastal habitats: Their role in climate change mitigation is published.
Deputy Editor-in-Chief Tomimatsu’s comments: This survey and analysis of community awareness of seagrass ecosystem services for blue carbon conservation in marine protected areas, using Karimunjawa National Park (Indonesia) as a case study, is published as an open access paper. Please introduce the importance of preserving seaweed beds to your students in your lectures using this excellent paper.
Husen Rifai, Jay Mar D. Quevedo, Kevin M. Lukman, Udhi Eko Hernawan, La-ode Alifatri, Johan Risandi, Kuswadi, Kristiawan, Yuta Uchiyama and Ryo Kohsaka
https://doi.org/10.1111/1440-1703.12391
世界中で急速に失われつつある湿性の植物群集に非常に影響の大きな大型の鳥類の捕食を野外調査と操作実験で定量的に評価した研究です。マコモとウキヤガラの地下部を好むオオヒシクイの捕食を長期に渡って実験的に操作することで、ウキヤガラへの捕食によってマコモの数が増えることが明らかになりました。また、オオヒシクイが居ない湿地では、湿性の植物群集の量と生物多様性が減少することも示されました。湿地自体やその植物群集の多様性の保全を考える上で重要な研究です。
本号には、半自然草原の植物についてのデータアーティクルも掲載されています。明治初期までは大きな面積を占めていたと考えられている日本の半自然草原の消失速度は極めて大きいです。その消失の影響評価や適切な保全策の策定に大きな役割を果たすことが期待できる論文です。
Database of Japanese semi-natural grassland flora
Akira Noda, Yoko Ohta, Hiroko Yokota, Masahito Inoue, Katsunobu Shirakawa, Taiki Masui, Yoshitaka Takahashi and Jun Nishihiro
https://doi.org/10.1111/1440-1703.12388
さらに、Blue carbon dynamics in coastal habitats: Their role in climate change mitigation and ecosystem function: Part 2
沿岸域におけるブルーカーボン動態:気候変動緩和と生態系機能に対する役割
の第2部も掲載されています。
富松副編集長がコメントを寄せている
Understanding community awareness of seagrass ecosystem services for their blue carbon conservation in marine protected areas: A case study of Karimunjawa National Park
Husen Rifai, Jay Mar D. Quevedo, Kevin M. Lukman, Udhi Eko Hernawan, La-ode Alifatri, Johan Risandi, Kuswadi, Kristiawan, Yuta Uchiyama and Ryo Kohsaka
https://doi.org/10.1111/1440-1703.12391