日本生態学会

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会長からのメッセージ -その11-

「ポスター賞の英語化について」

 大津大会はEAFESとの合同大会ということもあり、ポスター賞の対象を英語発表に限ることにしました。これについてはアンケートを実施し、賛否ともに熱心なご意見が寄せられました。詳細は将来計画委員会で取りまとめて報告します。

 注目すべきは、英語によるポスター発表が訓練になるという声が大多数だったことです。これは英語化に反対する回答にも共通していました。

 ほかの生物系の学会でも、和文誌を廃止したり、ポスターや口頭発表を英語にして、国際化を図っている例が多数あります。母国語で学問ができるというのは貴重なことですが、同時に、学問は国際的に開かれたものでなくては行けません。生態学会は、将来計画委員会の議論を通じて、英語化をさらに進めるべきであるという方針を提案します。

 ただし、本学会は市民参加の取り組みも重視しています。市民が国際化していないということはありませんが、普段、日本語でしか聞いたことが無い専門用語や種名があるときは、私も日本語のほうが便利です。ポスター賞の対象とはいたしませんが、日本語のポスターも引き続き受け入れたいと思います。

 将来は、口頭発表やシンポジウムも英語化を検討すべきかもしれません。口頭発表賞も検討してもよいかもしれません。しかし、上記の趣旨から、自由集会は日本語が維持されるでしょう。

 大津大会では、ポスターの説明も英語で行っていただきました。日本人同士でまで英語ですることへの疑問も寄せられましたし、日本語で説明する人がいるとの不公平感も指摘されました。審査基準を掲示するポスターの英語表記のみで評価することで、説明については自由度を持たせるほうがよいかもしれません。研究内容と発表技術の両方を評価するという方針は、掲示だけの評価でも可能でしょう。日本語版のチラシを作ったり、バーコードで動画や録音サイトにリンクするなど、さまざまな工夫をされるのは、大いに結構なことだと思います。

 静岡大会は、いったん日本語も認める従来の方針に戻します。静岡大会で十分ご意見をいただき、大会企画委員会とポスター賞選考委員会のご意見を踏まえて、広島大会からの方針を決めたいと思います。お願いする多くの審査員の方にはご負担をかけるかもしれませんが、負担が過剰にならないよう、かつ明確な審査基準となるような方法を検討させていただきます。

 ポスター賞は、2003年の仙台大会から、エコカップや託児所と同時に始まったそうです。当時の実行委員会の卓見の賜物です。審査はもちろん公平であるべきですが、大会に活気を与え、参加者に楽しんでいただくという重要な役割もあります。発表者、審査員、参加者の創意工夫によって、大会をさらに実りあるものにしていただければ幸いです。

 生態学会の魅力は大会にあります。大会をさらに実りある、活力あるものにしていきたいと思います。

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