日本生態学会

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会長からのメッセージ -その1-

「ご挨拶」

 東北大学の占部城太郎です。先の3月に開催された札幌大会で、首都大学東京の可知直毅さんから会長を引き継ぎました。責任の重さを感じています。

 私が初めて日本生態学会大会に参加したときは、知り合いもおらず、アウェイ感たっぷりの孤独な参加でした。会場のいたるところで繰り広げられている議論や発表での熱い語りに圧倒された覚えがあります。自分が生態学を続け、その後も生態学会員でい続けたのは、大会に参加したときの興奮と刺激、それを与えてくれた多くの研究者との出会いによるものです。私が生態学会員となった1986年は、会員は2千人を少し上回る程度でした。1998年に会計幹事をさせて頂いた頃、会員数は3千人を超えていました。現在、会員は4千人に達しています。会員が増えるということは、生態学がアカデミアや社会で期待されていることの証ですし、会員にとっては興奮と刺激が多くなることを意味しています。それを導いてきたのは、生態学の面白さと魅力を高めていただいた諸先輩方の活躍と尽力によるものですが、それだけでなく、「生態学会は若い研究者のためにある」という学会の伝統もしくは精神にあると思います。私と同世代の生態学研究者であれば、日本生態学会が研究者としての自分を育ててくれたという意見にだれも異を唱えないでしょう。将来も、そう言っていただける学会にしたいと思います。

 学会運営ですが、一般業務は、学会事務局と業務執行理事の陀安一郎さん(専務理事)、木庭啓介さん(庶務担当)、北村俊平さん(会計担当)に引き続きお願いし、さらに湯本貴和副会長(次期会長候補)と私が加わって執行部をつくり全体の運営に努めてまいります。

 先の総会で運営体制の若干の変更をお認めいただき、今年から広報・出版・大会を担当する業務執行理事を設けさせていただきました。広報担当は中川弥智子さん、出版担当は久米篤さん、大会担当は吉田丈人さんにお願いしました。広報・出版・大会は、定款(http://www.esj.ne.jp/esj/Rule/Teikan.html)に定められている本学会の目的「生態学の進歩と普及を図ることを通じて、社会に貢献する」ための重要な3本柱です。その業務マネージメントをする執行理事を設けることで、今まで以上に、個々の会員の活動にスポットライトをあて、意見を吸い上げ、魅力的で機動力のある学会にしたいと思います。各執行理事のミッションや活動については、おいおい、この会長からの「メッセージ」欄を利用して紹介・報告させていただきます。

 学会運営にあたっては、この他に12名の方に理事をお願いし、学会活動の計画、検討、審議をしてまいります。各理事とその分担はHPをご覧下さい( http://www.esj.ne.jp/esj/Orgnzn.html )。年4回ある通常理事会には、日本生態学会の顔であるEcological Research誌, 日本生態学会誌, 保全生態学研究の各編集長と、大会を縁の下で支えている大会企画委員長にも常任オブザーバーとして出席していただき、学会運営に関する提案や議論に加わっていただくことにしています。各誌編集長は生態学の地平を広げるべく日々仕事を続けており、その経験に根ざす意見や提案は本学会にとって大変重いものと言えます。

 各理事・執行理事に就任を依頼する際、「多くの会員からの声を吸い上げ、より良い運営や活動に活かしていく”知恵”を出して欲しい」とお願いしました。現在、生態学会員は4千名ほどです。したがって、20名の理事・執行理事は一人あたり約200名の会員を背負っていることになります。意見は千差万別ですから、そこから最適解を見つけ出すには知恵が必要です。

 とは言え、意見がなければ知恵は出ませんし、学会運営は理事会で勝手に進めていくものでもありません。学会運営に関する重要案件は、選挙で選ばれた22名の代議員による承認・決議が必要です。代議員の意見や見識は、生態学会をより良くしていくために不可欠です。会員におかれましても、生態学会を良くしていくアイデアやご意見などありましたら、身近におられる代議員や理事・執行理事に是非ともお話し下さい。また、年に1回しかありませんが、大会で開催される総会を通じて、生態学会を良くするためのご意見をお届け下さい。特に、「生態学会は若い研究者のためにある」というのが(私が受け止めている)学会の精神ですので、若い研究者や大学院生からの提案やアイデアは大歓迎いたします。

 これから2年間、どうぞよろしくお願いいたします。

2018年4月3日 会長  占部城太郎

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