| 要旨トップ | ESJ56 企画集会 一覧 | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨


企画集会 T06 -- 3月18日17:30-19:30 G会場

進化生態学と系統地理学の接点: 集団の歴史的背景が解き明かす適応プロセス

企画者: 土松隆志(東大広域システム), 池田啓(京都大 人間・環境)

進化生態学の主要な興味は、適応的な性質や仕組みがなぜ、どのように進化してきたのかを知ることである。近年、種内においてすら適応進化や生物間相互作用の様相に大きな変異があることが明らかになりつつあり、適応進化のプロセスとメカニズムを解き明かす糸口として注目されている。こうした研究の土台として重要になるのが、デモグラフィー(Demography)と呼ばれる、種内のそれぞれの分集団がたどってきた歴史に関する情報である。近年、分子マーカーを用いたDNA多型解析技術の飛躍的向上により、系統地理学は種内のそれぞれの分集団がどのように分布拡大/縮小、あるいは分化/交雑したのか、という集団のデモグラフィックな背景を詳細に解き明かしつつある。集団ゲノミクス・進化ゲノミクスの理論的研究の発展も相まって、生態学的研究と系統地理学的研究をうまく組み合わせることで、適応進化のプロセスを解き明かす研究が盛んに行われつつある。本企画集会では、若手研究者により進行中の動物・植物をもちいた系統地理学・進化生態学・ゲノミクスの統合的研究例を紹介し、適応進化研究の今後の展望を議論したい。

コメンテーター:細将貴(東北大・生命科学)「生物地理学の挑戦」

[T06-1] ミヤマタネツケバナにおける分断分布と適応進化 池田啓(京都大 人間・環境)

[T06-2] シロイヌナズナ属2種における自殖関連遺伝子の進化プロセス 土松隆志(東大広域システム)

[T06-3] 異時的隔離がもたらす時間的輪状種 山本哲史(京都大・理)

[T06-4] シギゾウムシ類を中心とした共進化ネットワークをひも解く 東樹宏和(産総研)

[T06-5] スミレ属2種における分子系統地理と形質進化のプロセス 遠山 弘法(九大・理)


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