| 要旨トップ | ESJ56 企画集会 一覧 | | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨 |
企画集会 T08 -- 3月18日17:30-19:30 I会場
1)藪化・樹林化の現状と課題:外来植物やツル植物の大繁茂で堤防上から川面が見えない河川が多く、水害防備林の竹林も今や水流阻害物でしかない。昨年の台風9号時倒木の年輪調査(多摩川)で30年未満がほとんど。2)河川敷利用形態の変化と樹林化の進行:過去100年間の河川敷地被変化を定量把握、樹林化は1970年代以降に始まり、1970年代まで樹林面積や樹林高に明確な差はないが、1990年代は平均で約3倍となった.樹林化のプロセスはa)草本からの遷移,b)薪炭林の放棄による拡大,c)耕作地放棄からの遷移。3)河川敷樹木群の動態:河川複断面化で高水敷の樹林化が進行、特にハリエンジュ林の分布拡大が著しい。1970年代以降に樹林化した多摩川永田地区では、最近ハリエンジュ個体数の増加は頭打ちだが、幹断面積合計は依然増加傾向。4)河道内樹木の洪水時破壊条件:樹木管理の際,洪水時の樹木破壊条件を把握が重要、荒川中流域の砂礫州上の樹木(タチヤナギ・ハリエンジュ)に着目,洪水前後の繁茂状況から破壊条件を把握、繁茂位置や生育基盤の違いが、破壊条件に与える影響を論議。5)河川敷や砂州の物理・化学特性の変化と藪化・樹林化メカニズム:河川特有の樹木、草本類を対象に、生息域の土壌条件と成長速度に与える影響、洪水によって生ずる栄養塩供給の機構、流失の実態、河川管理への影響等を紹介。6)討論・まとめ:河道内樹林は流下能力の減少、迂回流による堤防安全性の低下、流木の生産源等、治水面で負の側面を持つ一方、河岸侵食防止や流木・漂流物捕捉で災害低減の正の効果を持つ。藪化の影響は土砂堆積を進め、生態学的側面、治水面にも影響。本企画で河川の藪化や樹林化と管理の方向性を討論する。
[T08-1] 藪化・樹林化の現状と課題
[T08-2] 河川敷利用形態の変化と樹林化の進行
[T08-3] 河川敷樹木群の動態
[T08-4] 河道内樹木の洪水時破壊条件
[T08-5] 河川敷や砂州の物理・化学特性の変化と藪化・樹林化メカニズム
[T08-6] まとめ