| 要旨トップ | ESJ56 企画集会 一覧 | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨


企画集会 T09 -- 3月18日17:30-19:30 K会場

砂堆と砂浜の自然と生物多様性

企画者: 加藤真, 伊谷行

 陸から海に供給された砂礫や土砂は、潮流や波によって摩耗され選別されつつ、海底や海岸に堆積する。粒子サイズが0.1〜2mmほどの粒子を一般に砂と呼び、それが堆積した特別な環境が砂堆と砂浜である。そこは、間隙が多く、透水性が高く、多様な間隙生物を育み、そして多様な埋在性マクロベントスを育んでいる。イカナゴに代表される砂堆の生物は食物連鎖を通じて、周辺海域の魚類相や海鳥相を豊かにすることにも貢献している。かつて豊富に存在した瀬戸内海の砂堆は、大規模な海砂採取によってその多くが消失し、海砂採取の中心は長崎県や鹿児島県、沖縄県に移った。その結果、それらの地方で急速に砂堆が失われ、その影響で砂浜も急速に後退し始めている。この企画集会では、これまでその重要性がほとんど認識されてこなかった砂堆や砂浜の特異な生物多様性を紹介しつつ、急速に失われつつあるそれらの特異な自然を保護するための方策について考えたい。

 4題の報告に続いて、向井宏(京大・フィールド研)にベントス生態学の立場より、籠橋隆明(弁護士)に海砂採取と海岸線の後退との因果関係に関する法学の視点より、コメントをいただく予定である。

[T09-1] 波と潮流がはぐくむ砂の自然 加藤真(京大・地球環境)

[T09-2] 砂堆生態系の現状と保全 大森浩二(愛媛大・理)

[T09-3] 土佐湾の潮下帯砂底のベントス群集 *伊谷行(高知大・教育),山田ちはる(高知大・黒潮圏)

[T09-4] 星砂に棲む:スナハゼと間隙生物群集 椿 玲未(京大・人環)


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