| 要旨トップ | ESJ60 企画集会 一覧 | | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨 ESJ60 Abstract |
企画集会 T01 -- 3月6日 14:30-16:30 A会場
博物学者たちの時代、自然史学には生理学と生態学のあいだに区別はなかった。その後、生理学はひたすらミクロの冒険へと突き進んだ。一方、“いきもの”の生き様を追求する生態学は、環境と人を取り巻くマクロ化の道をひた走り、とうとう社会科学にまで及んでいる。ところが生理学と生態学の間には、いつのまにか、おおきな、おおきな溝ができてしまった。いわゆる生命科学と環境科学の乖離である。近年の動物学の研究は、あたかも植物細胞内の光合成システムと森林形成だけを見ているようなものだ。光合成が作り出すエネルギーが、葉と木を育み、そして森を作るしくみを抜きにして「森」を語ることはできない。生理学と生態学が確固たる基盤を築いたいまこそ、生理学者と生態学があゆみより、この溝に目を向けなければならない。そのために両者が統合して築く「新世代エコフィジオロジー」をめざすことが重要だ。
今回の企画集会では、大喜利よろしく、「リズム」というお題について、生理学者には生態を見つめていただき、生態学者には生理学との接点を見つめていただく。様々な「リズム」。たとえば生物の発する求愛などのシグナル、細胞の中の時計、季節、年変動、そして集団の周期的な変動など。生態系はあらゆる「リズム」で満ちあふれている。生理学と生態学がどれほどわかり合えるのかはわからない。けれども、両者が接点を共有したとき、そのリズムは美しい旋律となって生態系に響きわたり、新たな視界を僕たちに与えてくれるだろう。
コメンテータ:新世代エコフィジオロジーとリズム 三浦徹 (北大院・理)
司会,総合討論 宮竹貴久 (岡大院・環境生命)
[T01-1] リズムと生態学-はじめに-
[T01-2] 概年リズムのエコフィジオロジー
[T01-3] プランクトンから見たリズム
[T01-4] リズムを主題に生理学と生態学をつなぐ