| 要旨トップ | ESJ60 企画集会 一覧 | | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨 ESJ60 Abstract |
企画集会 T14 -- 3月6日 17:00-19:00 C会場
分解者としてまた木本の成長を支えるパートナーとして森林の物質循環を支える真菌類についての研究が物質面からめざましく進展しました。しかし真菌類の形成するキノコの生態についてはまだ調べられていないことばかりです。この集会では優れた野外観察者たちにキノコをめぐる生態系について新たな発見を紹介してもらいます。
土壌動物の中でも数の多いトビムシには土壌中で菌類を摂食する種と、ムラサキトビムシ科のような地上のキノコを摂食する種がいます。ある種のキノコ食トビムシは、猛毒のキノコに耐性を持つ一方、食用とされるキノコの分泌性の微細構造物に触れると死んでしまうことが明らかになりました。トビムシの視点からキノコを利用する際の危険性や注意点などを解説し、トビムシにおけるキノコ毒耐性機構について考察します。
また植物の中には、菌類の匂いに呼びよせられる昆虫を送粉者として利用しているものもいます。例えばヤッコソウの花蜜中には、特異的な酵母が存在し、その発酵臭により、多様な樹液性昆虫が訪花します。また菌寄生性のヤツシロラン属は、キノコから栄養を搾取するだけでなく、キノコに擬態することで送粉を達成しています。
キノコをめぐる生態系には、私達の知らなかった面白いナチュラルヒストリーが眠っています。チチタケのチチには何か意味があるのだろうか、ナメコのとろとろにも適応的意義があるのだろうか、と、キノコの生態について思いを巡らせてみましょう。
[T14-1] トビムシからみたキノコ
[T14-2] 菌類を利用する植物、菌類に擬態する植物 送粉を達成するための特殊な方策