| 要旨トップ | ESJ61 企画集会 一覧 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


企画集会 T01 -- 3月15日 18:00-20:00 A会場

群集生態学の理論と実証をつなぎ直す: 「空間」への視点で群集理解を革新する

企画者: 東樹宏和

EltonやLotoka、Volterraが活躍していた黎明期より90年、MacArthur やMayの記念碑的な理論の構築から40年以上が経った今、群集生態学が成し遂げたもの、また、成し遂げられなかったものについて、それぞれの生態学者にそれぞれの思いがあるであろう。本企画集会では、群集動態や種多様性消失過程を対象に研究を進める若手研究者を招き、群集生態学における重要課題の来し方行く末について議論する。群集生態学の中には、島嶼生物地理学のように、理論研究によるパターン予測と実証研究によるその検証が比較的うまくいっている分野が存在する。その一方で、群集の安定性に関する理論では、群集行列の固有値やnestednessといった粗い統計量を橋渡しとして、理論と実証が細々とつながっている状態である。本企画集会では、理論研究者と実証研究者が知見を持ちよって連携する土台として、「空間」の可能性を取り上げたい。群集動態における空間構造の役割に関しては、古典的課題としてこれまでにも取り上げられてはきた。しかし、群集動態や生物種分布パターンに与える影響の面で、「空間」は未だに過小評価されている。「空間」に着目することで、より簡潔かつ包括的な群集理論を構築できる可能性があるだけでなく、理論と実証の研究者が研究立案の段階から連携し、具体的な検証を可能にする統計量の開発を行う道もひらける。以下の講演者の他に、立木佑弥氏(北大)と山道真人氏(コーネル大)をコメンテータに招き、群集生態学の今後について野心的な議論を展開したい。

[T01-1] 群集安定性理論における実証研究の今日的限界: 理論と連携して枠組みから問い直す  東樹宏和(京大・人環)

[T01-2] 環境変化に対する湿原植物群集の脆弱性評価:島嶼生物地理と種の消失シミュレーションによるアプローチ  佐々木雄大(東大・新領域)・片渕正紀(中国科学院)・神山千穂(国連大)・嶋崎仁哉・中静透・彦坂幸毅(東北大・生命)

[T01-3] 空間の複雑性と生物群集の安定性  舞木昭彦(島根大・生物資源)


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