| 要旨トップ | ESJ61 企画集会 一覧 | | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨 ESJ61 Abstract |
企画集会 T09 -- 3月16日 9:30-11:30 F会場
琉球弧は、以下の4つの理由で、際立って優先的に自然保護が必用とされている場所である。(1)サンゴ礁生態系を擁しており、海の生物多様性が著しく高い。(2)大陸と連結・分離を繰り返す長い歴史を反映して、大陸島としての多くの固有種を育んでいる。(3)内湾や河口にマングローブなどの特異な海岸環境が発達し、それはとりわけ人間活動に対して脆弱である。(4)亜熱帯の自然の中で培われた伝統的な生活がかつて存在していたが、それらがさまざまな要因によって急速に失われ、また変質しつつある。この貴重な琉球弧の生物多様性と生態系を守るために、日本生態学会は1999年以降、5つの要望書を提出してきた(沖縄島在沖米海兵隊北部訓練場内ヘリパッド建設予定地の見直しに関する要望書、ジュゴンが生息する沖縄島東海岸の亜熱帯サンゴ礁域の保護を求める要望書、西表島浦内地区におけるリゾート施設建設の中断と環境影響評価の実施を求める要望書、尖閣諸島魚釣島の野生化ヤギの排除を求める要望書、沖縄県名護市辺野古・大浦湾の米軍基地飛行場建設に伴う埋め立て中止を求める要望書)。琉球弧は地震や津波といった巨大災害も経験してきただけでなく、米軍基地や核廃棄物貯蔵施設として開発が進行しつつある島もある。琉球弧の自然の新たに見直されるべき価値と、次々と浮上してくるきびしい課題を見つめ直し、県境や国境を越える保護の方策について考える。
[T09-1] 大浦湾・辺野古の生物多様性を育むもの
[T09-2] やんばる東村高江の自然と米軍ヘリパッド建設計画
[T09-3] 八重山と蘭嶼の生物・文化多様性を侵すもの——炭坑・観光・核廃棄物