| 要旨トップ | ESJ64 企画集会 一覧 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


企画集会 T06  3月16日 9:00-11:00 I会場

植食性昆虫研究の細分化された分野を繋ぐ‐個体群、群集、種分化の視点から

橋本 洸哉(京大・生態研), 中臺 亮介(京大・生態研)

植食性昆虫は陸上の生物種の大部分を占めており、その研究は生態学において古典的かつ現在まで大きく発展し続けている。その研究テーマは個体間の相互作用のメカニズムを問うものから相互作用が群集に与える影響を調べるもの、あるいは群集構造を広域で比較し群集の成立プロセスを推定しようとするものなど多岐に渡る。しかし、これらの各分野は個体、個体群、群集、小進化、大進化といった異なる文脈に沿って別々に発展して来ており、それぞれの分野に位置する研究者間での交流は十分でない。たとえば一言で群集といってもその言葉が実際に指す意味は分野間で異なり、そのような分野間での概念の不一致が研究者間の対話を困難にしている。
 本集会では、植食性昆虫間の相互作用研究における分野間の対話と相互理解を目標とし、そのために生態学の異なる階層にまたがる問いを設定する。今回は「種間相互作用が植食性昆虫群集の形成にどこまで寄与するのか?」という問いに対し、分野の異なる3人の発表者が自らの立場からその見解を発表する。個体間の相互作用が群集を形作るといった群集観は植食性昆虫については必ずしも共有されておらず、分野間で異なる見解が成立しうる。このような一般的なテーマを通した分野の異なる研究者間の対話は、各々に新たな発見や問題提起をもたらすに違いない。その上で、個々の研究の進展を踏まえた今後の発展と課題を探り、それらに答えうる新しいアプローチを議論する。
コメンテーター 瀧本 岳(東大)、京極 大助(龍谷大)

[T06-1] 資源競争では予測できない植食性昆虫間の相互作用 橋本洸哉(京大・生態研)

[T06-2] 寄主変更が生み出す多次元的ニッチ分化と生殖隔離 松林圭(九大・基幹教育)

[T06-3] 近縁な植物種を利用する近縁な植食性昆虫群集の決定要因 中臺亮介(京大・生態研)


日本生態学会