| 要旨トップ | ESJ67 シンポジウム 一覧 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


シンポジウム S16  3月5日 17:00-20:00 Room M

野外進化研究の新たなモデルシステムとしてのメダカとその近縁種
Medaka and its relatives as a new model system for the study of evolution in the wild

安齋賢(東北大・院・生命), 山平寿智(琉球大・熱生研)
Satoshi ANSAI(Grad. Sch. Life. Sci., Tohoku Univ.), Kazunori YAMAHIRA(TBRC, Univ. Ryukyus)

野外進化研究のモデルシステムと言うと,ダーウィンフィンチやアフリカンシクリッドを挙げる人が多いかもしれない.豊富な自然史研究を土台に,最先端のゲノミクスを駆使した研究の数々は,まさに圧倒的である.我々は,メダカの仲間(メダカ科魚類)が,野外進化研究の新たなモデルシステムとして,フィンチやシクリッドを凌ぐポテンシャルを秘めているのではないかと考えている.日本のメダカは,遺伝学や発生学のモデル生物として古くから実験生物学者の研究対象となってきた歴史があるが,いわゆる屋外フィールドでの研究は意外に少ない.また,メダカの仲間は東南アジアを中心にこれまでに37種が記載されているが,これら近縁種の野外生態についてはほとんど研究されてこなかった.しかし,一度メダカの仲間たちの自然史に目を向けてみると,進化生物学的に興味深い,様々な現象が転がっていることが明らかとなりつつある.本シンポジウムでは,メダカとその近縁種を材料に,生態から生理,分子まで様々なアプローチで進化の研究を行っている若手研究者にそれぞれの視点からメダカ研究の魅力を語ってもらい,メダカをアジア発の野外進化研究のモデルシステムとして世界に発信していくキックオフの場としたい.

[S16-1]
スラウェシ島・メダカ科固有種群における性的二型多様化の分子基盤 *安齋賢(東北大・院・生命)
The molecular basis of diversified sexual dimorphism in Adrianichthyidae endemic to Sulawesi *Satoshi ANSAI(Tohoku Univ.)

[S16-2]
収斂か浸透か?:メダカ科魚類における繁殖様式の平行進化 *モンテネグロハビエル(琉球大・熱生研)
Convergent or introgression?: repeated evolution of reproductive modes in medaka fishes *Javier MONTENEGRO(TBRC, Univ. Ryukyus)

[S16-3]
メダカ近縁種における性染色体の多様化機構 *竹花佑介(長浜バイオ大)
Evolution of diverse sex chromosome systems in medaka fishes *Yusuke TAKEHANA(Nagahama Inst. BioSci. & Tech.)

[S16-4]
スラウェシ島の古代湖群におけるメダカ科魚類の種分化 *山平寿智(琉球大・熱生研)
Speciation of medaka fishes in ancient lakes of Sulawesi *Kazunori YAMAHIRA(TBRC, Univ. Ryukyus)

[S16-5]
メダカとその近縁種をモデルとした塩分耐性機構:鰓塩類細胞分化に着目して *宮西弘(宮崎大・農)
Salinity tolerance in medaka and its relatives: focus on the differentiation mechanisms of ionocytes in gill *Hiroshi MIYANISHI(Fac. Agricult., Univ. Miyazaki)

[S16-6]
気候適応がもたらす繁殖の季節性がメダカ科魚類の性淘汰圧を変える *藤本真悟(琉球大・院・医)
Adaptations to climate affect sexual selection pressure in the family Adrianichthyidae *Shingo FUJIMOTO(Univ. Ryukyus)


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