| 要旨トップ | ESJ68 自由集会 一覧 | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨
ESJ68 Abstract


自由集会 W19  3月21日 17:00-18:30 Room E

アグロエコロジー研究会  :外来種スクミリンゴガイの東進とアグロエコロジカル管理
Going east of the invasive apple snail population and Agroecological management

日鷹一雅(愛媛大学・院・農学), 中井克樹(琵琶湖博物館)
Kazumasa HIDAKA(Ehime Univ.), Katsuki NAKAI(Lake Biwa Museum)

外来種スクミリンゴガイは1980年代に、「ジャンボタニシ」、「東洋水田のエスカルゴ」等のネーミングで食用養殖のために持ち込まれたが、販路確保に成功せず我が国のフードシステムには定着せず、その後養殖場に放棄放置され一部地域に定着した。その後、福岡など西南地域の水稲有害生物としてペストコントロールの対象となり現在に至っている。また本種は農業有害動物としてだけでなく、除草剤に代わる生物除草エージェントとして「稲守貝」などとして利用するジャンボタニシ農法が1990年代後半から行われてきた。このように、本種は国際的にはICUNの侵略的外来種として警戒される対象であると同時に、減農薬・無農薬米獲得のための有益生物であるという、善悪両面の社会的認知が混在している。しかし、現状の国の生態系被害防止外来種リストでの位置づけは「重点対策要注意外来種(環境省)」とされており、効用に期待した意図的導入は、飛び火的伝播と被害拡大をもたらしかねないため要注意である。本種の侵略的外来種としての種々の環境リスクから、これ以上の分布拡大は阻止したい所でもある。ところが近年、既知の生息地においても、温暖化等の異常気象や農業慣行の変化で事態は深刻化しつつある。近年での千葉県における水稲作被害の発生などの問題は,本外来種が西南日本だけでなく東日本にまで拡大・深刻化する予兆なのかもしれない。このような状況を受け、今回は、従来の西南暖地だけではない首都圏の米所で問題化しつつある現状報告から、今一度、本外来種の生物学と農作物への加害・被害の実態。ならびに滋賀県などで指定されている法的な規制を伴う管理手法についての最新の動向を集約し、本種の日本の里山の湿地環境・水田における侵略的様相をどう改善して行くのがよいのか?について議論を行う。
コメント:嶺田拓也(農研機構  農村工学研究部門) スクミリンゴガイの生物多様性へのリスクについて

[W19-1]
関東地方におけるスクミリンゴガイの現状 *伊藤健二(農業環境変動研究セ)
Current status of Pomace canaliculata in the Kanto region *Kenji ITO(NARO/NIAES)

[W19-2]
アグロエコロジー、TEKから診た野生種スクミリンゴガイの西南暖地における現況 *日鷹一雅(愛媛大学大学院・農学)
Current status of the wild invasive apple snail in southwest Japan from viewpoints of Agroecology and TEK *Kazumasa HIDAKA(Ehime Univ. Agri.)

[W19-3]
侵略的外来種スクミリンゴガイに対する法令による規制の経緯と今後 *中井克樹(琵琶湖博物館)
Legal regulations on an invasive alien apple snail Pomacea canaliculata: historical review and future perspective *Katsuki NAKAI(Lake Biwa Museum)


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