| 要旨トップ | ESJ69 シンポジウム 一覧 | | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨 ESJ69 Abstract |
シンポジウム S09 3月17日 13:00-16:00 Room E, オンライン開催/見逃し配信対応/現地会場あり
「生物多様性を高める農業に興味があるが、何をしたらいいだろうか?」
保全生物学者はこのような農家のニーズにどれくらい答えられるだろうか。近年のESG投資の世界的潮流やSDGへの消費者の関心の高まりから、生物多様性に配慮した経済活動が求められている。農業においても、農業生産を安定的に行いつつ、生物多様性を保全・再生・回復する農業へのニーズが増えていくだろう。そのため、自らの長期的な利益のために生物多様性の保全・回復への投資を行う農家が増えていくと予想される。
しかし、一般的に農業生産と生物多様性にはトレードオフがある。これが解消されない限り、生物多様性に配慮した農業は広く普及しないだろう。このトレードオフは、近年爆発的に技術開発が進んでいるICTによって緩和・解消できるかもしれない。ドローンや地上走行ロボットのコストは年々安くなり、画像識別や自動運転の技術も著しく発展し続けている。これら技術革新を活用することで、農業生産を低下させずに生物多様性を回復させる、あるいは生物多様性を低下させずに農業生産を安定的に行う方法が開発できるかもしれない。
当然、このような未来を考えるためには生態学者だけでは不十分である。そこで本シンポジウムでは、作物学・農業情報学・雑草学から精力的な若手研究者を招待し、農地で多様性保全を行う生態学者とともに、各分野から見た現状と未来を講演していただく。農業と生物多様性の新しい未来を実現するために何が求められているか、様々な視点からの熱い議論をご期待ください。
[S09-1]
農業生態系において植物多様性を保全するためのアプローチ
Approaches for plant diversity conservation in agro-ecosystems
[S09-2]
農地における生物多様性保全のエビデンス
Evidence for biodiversity conservation in farmland
[S09-3]
農地と自然生態系で使える植物フェノタイピング技術
Plant phenotyping technologies for agricultural and natural ecosystems: current and future perspective
[S09-4]
多様性は敵か味方か?雑草管理をめぐる課題
Is biodiversity a friend or foe? Issues in weed management
[S09-5]
生産農学からみた農地の生物多様性の現状と未来
Current and future challenges for biodiversity in cropland: agronomist's viewpoints.