| 要旨トップ | ESJ69 シンポジウム 一覧 | 日本生態学会第69回全国大会 (2022年3月、福岡) 講演要旨
ESJ69 Abstract


シンポジウム S12  3月18日 9:00-12:00 Room C, 現地開催/ライブ配信あり/見逃し配信対応

空間個体分布の生態学:動態モデルと空間点過程
Ecology for spatial individual distribution: Dynamical models and spatial point processes

島谷健一郎(統計数理研究所)
Ichiro Ken SHIMATANI(The Institute of Statistical Mathematics)

個体の空間分布を扱う生態学には、データ、数理モデル、統計モデルという3つの側面がある。

個体の位置情報がx-y(-z)座標で与えられた生態データは広く見られる。空間分布データについては集中度などの統計量が開発されているが、その背後には空間点過程という数学があり、その中の未知パラメータを推定する1ステップであることは案外知られていない。一方数理生態学では、反応拡散方程式や格子モデルによる空間パターン動態が解析されているが、個体位置を連続量としてのx-y座標で与える数理モデルは広く普及しているわけではない。当然これらは互いに深く関連しているが、生態学の中でうまく連携しているとは言い難い現状があり、これが一因で個体の空間分布を扱う生態学に挑む若手に様々な労苦を強いている。

全個体に位置情報を付与する個体ベースシミュレーションという、3者のどれとも直結する手法が発展している。ところで、シミュレーションを使う目的は、数理生態学と統計学で異なり、それぞれの中でも多様である。既存の数理生態学や空間点過程との連携が不十分という現状もあり、シミュレーションを実行したがそれを十分に活用できていない違和感を抱いた覚えのある若手も少なくないだろう。

本シンポは余裕のある時間配分で、4者のいずれかと関わる若手会員を主な対象に、4者の位置づけを整理し、これまでのアプローチと成果事例を紹介し、今後の方向性について提案や意見交換をする場を提供する。質疑だけでなく、演者と異なる意見を述べる時間枠も用意する。

1. シンポジウム趣旨と概要:5分
2. 従来、微分方程式などで表現された数理モデルを、どのように個体ベースシミュレーションモデルに変換し、新たな地平を開くか。75分
3, 4. 研究事例2件 各10分
5. 空間点過程モデルによる実データとモデルの連携と限界。50分
6. 自由討論:30分

[S12-1]
力学系モデルから個体ベースモデルを作るやり方 *高須夫悟(奈良女大)
How to extend a dynamical models to an individual-based model *Fugo TAKASU(Nara women's university)

[S12-2]
感染症SIRモデルの点パターン動態への拡張:感染拡大と感染期間の分布の関係について *松本愛実(奈良女大)
Extensions of SIR models to point pattern dynamics *Manami MATSUMOTO(Nara Women Univ.)

[S12-3]
Tentative title: Spatial meta-population dynamics as a point pattern dynamics *Huong Dieu LE(Nara Women Univ.)

[S12-4]
空間点過程の統計的側面と数学的側面 *島谷健一郎(統数研)
Statistical and mathematical aspects of spatial point processes *Ichiro Ken SHIMATANI(ISM)


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