日本生態学会

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第16回(2018年)日本生態学会賞受賞者

大串 隆之(京都大学大学・名誉教授)


選考理由

大串隆之氏は、主に動植物相互作用を対象にして、個体群動態や群集の維持機構を野外調査、室内実験、理論を用いて明らかにしてきた。初期の研究ではヤマトアザミテントウなどの野外個体群の研究によって、食物資源の量と質に反応した個体の行動により密度調節が働き、個体群の平衡状態が維持されていることを明確に示した。その後、「間接相互作用網」という概念を提唱して、被食-捕食関係以外の相互作用が群集の維持や動態に重要な役割を担っていることを早くから指摘し、実証してきた。これら一連の研究は国際的にも当該分野の研究者に大きな波及効果を与えた。これらの成果はAnnual Review of Ecology, Evolution and Systematics誌やEcology誌、Ecology Letters誌などの国際誌に110本以上発表され、総引用回数は2600回を超えている。また、一般、学生向けの本を多数執筆・編集したことなどにより、後進を育てることに大きく貢献しており、優秀な生態学者を多く育てている。受賞後も指導的立場で貢献して頂くことが期待できる。日本生態学会誌の編集長を務めるなど各種学会活動も目覚ましい。以上のように大串隆之氏は研究業績、国際性および指導性いずれの点においても高く評価されることから、日本生態学会賞の受賞者として相応しいと判断する。

選考委員会メンバー:岸田治(選考委員長)、鏡味麻衣子、日浦勉、吉田丈人、塩尻かおり、土居秀幸、井鷺裕司、北島薫、東樹宏和

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