日本生態学会

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第2回(2009年) 日本生態学会大島賞受賞者

綿貫豊(北海道大学水産科学研究院准教授)


選考理由

 綿貫氏は北海道大学農学部の卒業研究でカモメ類の生態学的研究を始めて以来,一貫しての野外調査に基づく海鳥類の行動・生態研究に取り組んできた.レジーム・シフト(10年スケールの海洋環境変動)に対応した海鳥の餌の変化に関する研究や,それが採食行動を通じて繁殖成績に影響するメカニズムの解明などの研究成果は,国際的に高い評価を受けている.また,国立極地研究所,フランスCNRS,オーストラリア南極局との共同研究プロジェクトをリードし,海氷がアデリーペンギンの採食行動と繁殖生態に与える影響を明らかにするなど,海鳥研究の国際的なリーダーとして活躍している.一連の研究は50報以上の英語論文として,Oikos, Animal Behaviour, 英国王立学会紀要,Auk, Condor, Ecological Research など国際的に著名な学術雑誌に発表され,被引用回数は総計600回を超えている.
 また,綿貫氏は,1980年に天売島でウミネコの調査を始めて以来,20年以上にわたり,同調査地に通い続け,学生とともに調査ベースを運営している.その間に海鳥の餌と繁殖成績のモニタリングマニュアルを整備しそれに従って得た資料をデータベース化し,研究者に広く提供している.調査ベースは地元の自然愛好家との交流の拠点にもなっており,生態学の普及にも大きな貢献をしている.
 綿貫氏の野外調査を基盤とする研究姿勢は大島賞の精神によく合致し,この研究スタイルを活かした高い研究業績は大いに評価できる.また,同氏の研究拠点は自然愛好家との交流の場にもなっており,生態学の普及にも大きな貢献をしている.よって,選考委員会は,同氏を第2回(2009年度)「日本生態学会大島賞」受賞候補として選定した.

選考委員会メンバー:河田雅圭,齊藤隆(委員長),柴田銃江,杉本敦子,竹中明夫,辻和希,津田みどり,永田俊,松田裕之

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