日本生態学会

Home会長メッセージ一覧

会長からのメッセージ -その1-

「生態学会新会長からの挨拶」

 中静前会長の後を受けて、2012年1月より2年間学会長を務める松田裕之です。高田幹事長には引き続き本会へのご指導よろしくお願いします。

 今後2年間に学会が取り組むべき課題のうち、僭越ながら、いくつか私が重要と思うことを挙げさせていただきます。特に、①-③までは、私の任期中にある程度進めたいと思っています。

①.会員制度の問題。アンケート結果をもとに検討させていただきます。C会員は保全生態学研究会との関係で設けた制度ですが、現在は別の意味が生まれつつあるように思います。それを踏まえた改革案を考えたいと思います。

②.大会のあり方の問題 大会準備関係の委員同士で交わすメールを垣間見ると、その驚異的な御苦労に頭が下がります。活気あるわが学会の大会ができる裏でこれだけのご苦労があることを知らない会員も多いことでしょう。当面はこの体制でお願いせざるを得ないと思いますが、将来の大会運営をどのようにすべきか、皆さんのご意見をいただきたいと思います。

③.法人化の問題。学会が法人化するための準備は、矢原会長時代にかなり検討されています。その後様子を見ることにし、あと2年ほど猶予があります。その後の情勢変化に応じていくつか検討すべきことがありますが、基本的には今までの方針を踏まえて、引き続き検討させていただきます。そのために、いくつか法人が備えるべき規定も整えたいと思います。

④.国際連携。今年の大津大会はEAFESとの合同大会で、中国韓国台湾からの参加者も多数います。大会準備の方々にさらにご苦労をかけています。若手の方も国際生態学会などの国際大会に参加経験を持つ方が増えていると思います。アジアの研究者は既に欧米を含め世界で活躍し、その経験を積んだ方が母国でも活動しています。学会組織同士の連携というよりも、個々の協働のために生かせるようなEAFESであるべきでしょう。その役割を生かすための皆さんの知恵を貸してください。

⑤.選挙制度の問題。昨年、次期会長選挙と全国委員選挙を行いました。初めて電子投票を導入しましたが、投票数は以前と大差ありませんでした。電子投票を生かし、投票率をもう少し高くしたいと思います。そのためにどんな工夫ができるかを考えましょう。

⑥.2011年3月11日の札幌大会中に起きた東日本大震災は、日本社会だけでなく、本学会に大きな転機をもたらしつつあると思います。日本海洋学会などはチームを作って定期的に会合を持っています。個々の会員ができることはたくさんあり、すでに少なからぬ方が取り組んでいます。海洋学会、水産学会との連携など、生態学会として取り組むべきと思うことがありましたら、どしどし提案ください。

⑦.学会賞について。このたび、私自身が学会賞をいただくことになりました。賞選考委員会の判断ですのでありがたく頂戴いたします。半面、2年連続して現職会長が受賞するのはいかがなものかというお叱りも頂きました。

⑧.菊澤会長時代に始めた「会長からのメッセージ」ですが、このサイトで述べてほしい案件がありましたら私宛にご提案ください。

さて、以下は抱負の代わりに、私個人の今の処世術を述べさせていただきます。

【学会の社会への提言について】
学者は自身の価値観でなく、科学的知見を代弁するからこそ、社会に重んじられるのです。組織でなく個人の力でも、少数意見でも、的確な意見は社会を変えるものです。そのような意見を言えるようになりたいと思います。

【科学に対する自省の念】
生態学に限らず、環境科学の知見はまだ歴史が浅く、将来否定されるものも多いでしょう。意見を言うときには、黙って見過ごすよりは良い結果になるという確信がたいせつです。

それでは2年間、どうぞよろしくお願いします。

トップへ