日本生態学会

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会長からのメッセージ -その6-

「五十円の意味」

 少し前のことですが,広島大会を終えた夕方,広島平和記念資料館に足を運びました.入館料は50円でした.その時,核兵器の非人道性をできるだけ多くの人に訴えるなら,無料の方がよいのではないか?一人50円を徴収しても,集めた金額は受付の人件費にも満たないのではないかと思いました.有料化は経済的な理由ではない.有料にすることによって入館者の意識が高まり,展示内容への理解が深まることを期待しているのではないか,とも考えました.

 そんなことを考えていたら,大会参加費の設定についての議論を思い出しました.生態学会では,学部生の大会発表の聴講を無料にしています(発表する場合は有料).高校生ポスターの発表も無料です.現在,海外からの参加者の参加費の割引を議論しています.委員会では,無料化(割引)の意義・効果,学会負担の大きさ,他の参加者との公平性などについて多角的に検討しています.委員会での議論を拝聴していると,委員の皆さんが個々の課題の意義や意味について深くとらえようとされているにことがよくわかります.

 平和記念資料館の受付で,「五十円の意味」についてたずねたところ,(内心はわかりませんが)変な顔を見せずに電話で事務の方に取り次いでくれました.入館料は広島市の条例で決まり,市議会では,無料化の主張,また,値上げを求める意見もあるそうです.今の入館料は両方の意見の間をとって落ち着いているという説明でした.

 結局,五十円の「事情」はわかりましたが,その「意味」はわかりませんでした.

2014年5月17日 会長 齊藤 隆

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