会長からのメッセージ -その5-
「個体群生態学会、種生物学会と連携した英文誌の一括出版契約について」
日本生態学会会員の皆様へ
日本生態学会は、英文誌の出版について、経費軽減、効率性および国際的なステータスの向上という観点から検討し、2019年よりEcological Research誌(ER)に加えて、現在、個体群生態学会から出版されているPopulation Ecology誌(PE)と、種生物学会から出版されているPlant Species Biology誌(PSB)の出版について一括して契約を結ぶことにしました。
3誌は日本生態学会から出版されることになりますが、各誌の編集体制は各学会が独立した編集組織を持って行い、雑誌の形態はほとんど変わりません。一方、3誌を一括した出版契約を結ぶことで、以下のメリットが期待されます。
- 3誌を一括契約することで出版事業のスケールメリットが生まれるため、日本生態学会の出版社への支払い額が大幅に削減され、学会の運営のための経済的基盤を強化できる注1)。
- 出版社との契約を日本生態学会に一本化することにより、出版契約だけでなく出版業務についても包括的な交渉が可能になる。
- 出版管理(論文の受付、投稿原稿 の形式・内容確認、受理原稿の図表確認など)や広報等を3誌で集約して行うことにより、編集作業の効率と質が向上し、出版に携わる人材が確保しやすくなるともに、編集委員の負担が軽減される。
- 各雑誌の編集部は、独立した審査・編集に専念できると同時に、3雑誌の協力関係も意識した編集企画の実施が容易になる。
- 各雑誌の強みと持ち味を生かした出版により、国際情報発信力が高まる。
・ERはアジアの生態学総合誌
・PEは個体群生態学の国際的なトップジャーナル
・PSBは種生物に関わる国際専門誌
- 3学会の会員はWebから3英文誌を自由に読むことが可能になる。
3誌の一括契約により、イギリス生態学会やアメリカ生態学会と同様に3誌を集めたポータルサイトを構築する予定です。出版形態は基本的に電子版のみですが、印刷体を希望する会員には有料で冊子による配布も行います。
本件については、今年2月から各学会関係者、関係出版社との間で活発な情報交換や交渉が行われてきました。生態学会は、国際情報発信強化科研費により年間1660万円の補助金を得ていますが、今年度が最終年度です。新年度に向けた科研費申請の準備に加え各学会の事情もあり、早急に結論を出す必要があったため、2017年10月22日に各学会の執行部が集まり検討を行いました。その結果、上記合意に至りましたので、会員のみなさまにお知らせします。詳細については、2018年3月の日本生態学会札幌大会でご説明します。
注1)現状のままでは今後、赤字財政が見込まれており、科研費が採択されなかった場合は2020年、採択された場合でも2023年に健全な繰越金の目安を下回ると試算されています(http://www.esj.ne.jp/esj/Unei_kaikaku/4_ikeda.pdf)
2017年11月13日 会長 可知 直毅