日本生態学会

Home会長メッセージ一覧

会長からのメッセージ -No.4-

「学会各賞」

 4月24日にみどりの学術賞の授賞式に列席してきました。京都大学におられた井鷺さんが受賞されたので、学会関係者ということで招待されたわけです。井鷺さん、おめでとうございます。内閣府から授けられるこの賞はこれまでにも生態学会で活躍されている方が何人も受賞されていて、とても誇らしいと感じます。

 一方生態学会には現在、生態学会賞、大島賞、宮地賞、鈴木賞、自然史研究振興賞という学会賞があります。他にも功労賞や論文賞などもありますが、ここではこの5つに話を絞ります。4月8日に将来計画拡大委員会が開かれました。理事会からの要請として各学会賞の位置付けや選考基準について、見直すことも含め議論していただくためです。そこで普段の将来計画委員会メンバーに加えて、学会賞選考委員会の方数名と私が加わり、拡大委員会となったわけです。なぜ今議論する必要があるのでしょうか。

 学会員歴の長い方はご存知と思いますが、これら全ての賞は一度に設けられたわけではありません。一番初めが宮地賞、その次に生態学会賞、大島賞、鈴木賞と続き、2023年には自然史研究振興賞が設けられました。宮地賞だけの時は生態学的に優れた業績を挙げた人に与える、という極めてシンプルなものでしたが、賞の種類が増えるに従ってそれぞれの位置付けが微妙に変化してきています。

 例えば初めからある宮地賞ですが、生態学会賞という最も権威ある賞が後に創設されたことで細則に「若手会員」という文言が加わりました。さらにその後若手奨励賞である鈴木賞が加わることで、宮地賞受賞者は中堅クラスの受賞者が増え、その年齢層は当初に比べて明らかに高くなっています。

 また、自然史研究振興賞は一つの企業からの寄付をきっかけに設けられた賞で、当初の議論では地道な観察を通して地域の自然を記載しておられる方々を称える意図がありました。例えば環境省のレッドデータブックの作成も、このような方々の活動がなければ成し得なかったでしょう。ネイチャーポジティブアクションも地域の生物多様性がしっかり記述されていてこそ可能となるものです。しかしこれまでこの賞を受賞された方には、国際誌に沢山の論文を発表している第一線の研究者が多く当初の意図とややずれてしまった(論文業績で評価するとそうならざるを得ない)ことから、拡大委員会での議論と理事会での審議を通して規則の改定を行ったわけです。今回の改定ではアマチュアや市民などの団体も会員からの推薦があれば受賞対象となりました。

 もう一つの大島賞は「例えば野外における生態学的データの収集を継続して行うことなどにより生態学の発展に寄与している」方が対象となっています。創設の意図は菊沢さんの会長メッセージ(その1や13)にもあるので繰り返しませんが、当初からこの文言の解釈が人によって様々で、応募する側も選考する側もやや戸惑うことがあると伺っています。この規定の表記変更については継続審議となっていますが、選考の段階で自然史研究振興賞より大島賞の方が妥当だろうと委員会が判断した場合には、応募先となる賞の変更を推奨することもあり得ます。ご理解ください。

 なお、生態学会は自然史研究振興賞の運営などに直接紐付ける寄付も含め、使途を限定しない寄付も広く受け付けています。その際、生態学会は一般社団法人なので個人からの寄付に所得税控除はありませんが、会社など法人からの場合は一般の寄付金と同様に損金算入限度額までは損金に算入することができます。会社の経費で落とせるということです。法人の皆さま、是非ご寄付を検討していただければと思います。

 6月から生態学会各賞の応募が始まりました。上記のような経緯をご理解いただき、是非応募や推薦を頂ければと思います。

2026年6月22日 日浦 勉

 クリンソウ群落(苫小牧幌内川にて2026年5月28日撮影)
2004年頃まではこの一帯はシカの採食圧が低く、他の草本が繁茂していたためシカの忌避植物であるクリンソウは目立たない存在だった。生態系サービスのありようを考えさせられる。たまにはカラー写真も、という事務局鈴木さんの指示により今回はカラーです。

トップへ