日本生態学会

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会長からのメッセージ -その3-

「『男女共同参画学協会連絡会』の幹事学会を担います」

 本年11月より1年間、日本生態学会は男女共同参画学協会連絡会(以下、学協会連絡会)の幹事学会を務めることになりました。ご存知の通り、学術分野における女性研究者の比率は諸外国と比べても低く、とくに科学・技術・工学・数学分野(STEM分野)で低迷しています。学協会連絡会は、その現状を改善すべく2002年に発足しました。現在、STEM分野における約120の学協会が加盟しており、男女共同参画の実現のために活動しています。具体的な活動としては、多様なセクターの方々を招待したシンポジウムを毎年開催することや、4-5年ごとに科学技術系専門職の男女共同参画実態調査(大規模アンケート)を行い、その結果を取りまとめ、科学技術基本計画や男女共同参画基本計画に対して政策提言などを行っています。さらに、女子中高生夏の学校の開催などの若年層の啓発活動も行っています。

 日本生態学会では、これまで男女共同参画にたいへん積極的に取り組んできました。大会時に毎回フォーラムを実施してきたほか、託児所の費用の学会補助、こども生態学講座の開設、大会参加者の属性調査の実施、などが挙げられます。直近では、日本生態学会誌の72巻2号(2022年)で特集を組み、会員構成や大会参加者から見るジェンダー不均衡、リーダーシップ活動の実態、会員のキャリア形成におけるジェンダー不均衡、などについて、独自の分析を行ってきました。これらの記事はJ-SATGEでご覧いただけますので、是非ご一読ください。この度、学協会連絡会の幹事学会を仰せつかったのも、こうした活動が評価されたことが一因と思います。

 幹事学会を運営するには、それに専念する組織作りが必要でした。本年3月より幹事会に向けてのタスクフォースを立ち上げ、さまざまな準備をしてきました。委員長にはこの分野に経験の深い半場祐子さん、委員には元学会長の可知直毅さん、長年にわたって学協会連絡会の活動をされてきた三宅恵子さんを始め、14名の方に参画していただきました。委員の大部分は、公募により自発的に参画された方々です。

 幹事学会の任期は1年間という短い期間ですが、日本の学術上重要な役割を日本生態学会が果たすことになります。これを機会に、男女共同参画についてより一層理解を深め、多方面にネットワークを構築し、今後の先進的な取り組みに活かしていきたいと考えています。生物多様性を学問の支柱とする当学会員は、多様性の価値についての造詣は深いはずです。その意味からも、皆さま方のご支援ご協力のほど、是非よろしくお願い申し上げます。

2022年11月15日 会長 宮下 直

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