| 要旨トップ | ESJ57 企画集会 一覧 | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨


企画集会 T14 -- 3月18日15:15-17:15 D会場

共進化生態学の新天地を求めて

企画者: 東樹宏和(産総研)

 せめぎ合い、たすけ合い、進化する。生物にとって、他の種、他の個体とは、最も劇的に変動する環境の一つであり、それに対応するための自然選択が常に働いている。その意味で、生物群集は「共進化のネットワーク」としての側面を持っており、共進化の過程を生物群集の動態と結びつけることこそが、今後の生態学における大きな課題となるであろう。

 日本という国は、高い生物多様性とその豊富な博物学的知見を誇り、多様な環境に置かれた生物の局所群集が、島嶼という形で互いにある程度隔離されて存在している。こうした特色は、メタ群集における生物間相互作用を解き明かす上で理想的なものであり、この地の利を活かせば、共進化の進化生態学において重要な議論を世界に向けて発信していくことができるであろう。

 本集会では、共進化を題材に、概念的な面と実証面で活躍している国内研究者のこれまでの発見を深く理解するとともに、「こんな課題を今後つきつめていけばおもしろいのでは」という討論を通じて、研究者コミュニティーを鼓舞することを目論んでいる。講演を行う3名の実証研究者は、軍拡競走(東樹)、相利共生(川北)、種間競争(千葉)が関連する共進化研究で、日本発のモデル系を対象に独創的なアプローチで仮説検証を行ってきた経緯を紹介する。また、(共)進化過程を考慮したメタ群集の動態を精力的に考察している若手の理論研究者(山口)を巻き込んだ議論を展開し、「日本を共進化研究のホットスポット」にするための戦略を練りたい。

[T14-1] 趣旨説明 東樹宏和(産総研)

[T14-2] 「軍拡競走の曙、そして、落日: 共進化のモデル系としてのゾウムシ―ツバキ相互作用」 東樹宏和(産総研)

[T14-3] 「絶対送粉共生系は種多様化を促すのか?: コミカンソウ科ーハナホソガ属共生系の起源と進化」 川北篤(京都大)

[T14-4] 「メタ群集における共進化と食物網構造: 多種の捕食ー被食群集モデル」 *山口和香子(東北大), 大野ゆかり(東北大), 近藤倫生(龍谷大), 河田雅圭(東北大)

[T14-5] 「競争種間の共進化と生物群集: 小笠原の陸産貝類をモデル系として」 千葉聡(東北大)


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