| 要旨トップ | ESJ57 企画集会 一覧 | | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨 |
企画集会 T18 -- 3月18日15:15-17:15 H会場
生物は太古の時代より移動分散と絶滅を繰り返し、分布を変化させてきた。みずからの脚や翅によって、または漂流物や移動する別の生物に偶然乗りあうことで地球上のさまざまな場所へと移動してきた。それは、実に長い時間をかけゆっくりと、そして海や川、山などの地理的障壁に阻まれることで比較的狭い範囲で行われ、その結果として、その時々で各地域に合った固有の生物相を育んできた。しかし、人間の出現以降、生物の移動は大きく変化した。人間は、産業や観賞を目的に、あるいは自身やモノの移動と伴に、さまざまな生物を持ち運ぶようになった。特に、近代の運河や道路、鉄道に加え船舶や飛行機といった移送ネットワークの発達によって、人間の移動能力と物資の運搬規模は飛躍的に拡大し、生物もまた、かつてないスピードで、しかも大陸や大海原を越える大移動を始めた。こうした生物の移動はさまざまな外来生物を生み出し、世界中で地域固有の生物相の破壊という大きな問題を引き起こしている。この企画集会では、種内変異と系統分化という長い時間をかけた進化プロセスに関する生物地理学的研究から、近年の外来生物が引き起こす生態リスクやその侵入・分布拡大プロセスに関する研究を紹介し、外来生物問題について議論したい。
[T18-1] アジアにおけるヒラタクワガタの多様性:DNAおよび形態からのアプローチ
[T18-2] 日本列島とその周辺のトカゲにおける地域固有性の形成と破壊
[T18-3] あなたの知らない付着性淡水二枚貝の脅威
[T18-4] アルゼンチンアリ大航海:DNA解析による遺伝構造の解明と侵入経路の推定
[T18-5] 両生類の感染症カエルツボカビは日本から運ばれてしまった!