| 要旨トップ | ESJ59 企画集会 一覧 | | 日本生態学会第59回全国大会 (2012年3月,大津) 講演要旨 ESJ59/EAFES5 Abstract |
企画集会 T14 -- 3月20日 15:00-17:00 E会場
クラインとは、連続した生息地において量的形質や対立遺伝子頻度が示す空間的に滑らかな地理的変化をさし、測定可能な変異の勾配として観察される。クラインは、古くから数多くの生物において報告されてきた身近で関心の高い現象である。進化学・生態学は、注目している形質が示すクラインを利用し、その変異の時空間的変化を調べることで形質の適応進化の因果やプロセスを明らかにしてきた。ベルグマン則の発見をはじめとする数々の成果は、クラインの重要性を象徴している。
しかし、数多くのクライン研究成果の基礎をなす「クラインそのものに対する理解」はいまだ混沌としており、クライン研究は脆弱な基盤によった砂上の楼閣といえる。その背景には、成立機構や空間スケールについてあまり注目されてこなかったことや、「平均値にみられる量的形質のクライン」と「多型の出現比(遺伝子頻度など)にみられる質的形質のクライン」という異質なクラインの認識への混乱などが挙げられる。また、これらについて手軽に参照できる文献資料に乏しいことも大きな問題である。
本企画集会では、「クラインが関連するあらゆる研究のためのインフラ整備」を行なうことを目的とする。まず、自然界で見られるクラインをその質や空間スケールにより分類/再定義し、それぞれのクラインの成立機構を体系的に紹介する。さらに、現行の研究の問題点を指摘することや、それらを解決するための新たなアイデアや枠組みを提案することを通じて、クライン研究の発展に貢献したい。
[T14-1] クライン研究の現状とインフラ整備の必要性
[T14-2] 量的形質に関するクラインの成立機構
[T14-3] 質的形質に関するクラインの成立機構
[T14-4] クラインの総合的理解とクライン研究の展望