| 要旨トップ | ESJ62 企画集会 一覧 | 日本生態学会第62回全国大会 (2015年3月、鹿児島) 講演要旨
ESJ62 Abstract


企画集会 T13 -- 3月22日 9:30-11:30 B会場

「エコミメティクス」の創成:ミクロ生命圏の異分野融合研究プロジェクトが目指す生態学の発展と応用

企画者: 瀧本岳(東邦大・理), 東樹宏和(京大・人環)

世界規模で拡大する感染症、10億人の飢餓人口、生物多様性の全地球的減少といった人類が抱える喫緊の課題の解決には、生態学が大きく貢献できるはずである。しかし、こうした諸問題に対処し、生態系動態の予測・管理・制御を行っていく上で、現状の生態学理論はまだ発展途上である。生態学データの質的・量的拡充、また、複雑適応系の性質を組み込んだ汎用性の高い管理モデルの構築、この2つが発展の鍵である。講演者らは、腸内細菌・ウィルス・極限環境微生物・農地微生物などの微生物学専門家と理論生態学・システム生物学・マルチオミクス解析の専門家が集う研究プロジェクトを立ち上げた。このプロジェクトにおいて、我々は「エコミメティクス(Ecomimetics)」の創成を提案する。多様な種の進化・生態プロセスから構成される微生物生態系は、複雑適応系の格好の研究対象である。この点に着目し、細菌・アーキア・真菌・ウィルスを中心とする微生物系の構造や動態を比較解析することで、それらに共通する駆動原理を探る。そこで解明された生態系動態のしくみを模倣する(mimic)ことで、医学・農学・環境分野において、対症療法的な問題解決ではなく、予防原理を中心に据えたシステム管理の枠組みを提案していきたい。例えば、疾患につながりにくい腸内微生物叢や、病害虫が発生しにくい土壌生態系などを構築するうえで、最低限の人為介入による安定なシステム管理が実現できることを目指している。[コメンテーター:巌佐庸(九大・理)、南澤究(東北大・生命)]

[T13-1] 微生物生態系の複雑性を手なずける:対象系の枠を超えた大規模データ解析の流れ  東樹宏和(京大・人環)

[T13-2] 昆虫−細菌共生系の理解が切り拓く害虫制御の新たな地平  菊池義智(産総研・生物プロセス)

[T13-3] 腸内エコシステムの理解による新たな健康維持基盤技術の創成  福田真嗣(慶大・先端生命研)

[T13-4] 微生物に学ぶ群集生態学  瀧本岳(東邦大・理)


日本生態学会