| 要旨トップ | ESJ65 シンポジウム 一覧 | | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨 ESJ65 Abstract |
シンポジウム S13 3月16日 9:00-12:00 J会場
日本列島は高い種多様性と固有性の両方がみられ,地球上での生物多様性ホットスポットのひとつとして知られている.この多様性の形成要因を解明するため,種内及び種間の遺伝的地域性・遺伝的分化を明らかにし,それらを形成した歴史的過程を明らかにする系統地理・系統進化学的研究が,日本列島や近隣地域に生息する生物を対象に行われてきた.解明しようとしている生物の分布の分断や接続、拡大・縮小といった歴史的過程を考察する際には,現在の日本列島をかたちづくるプレートの運動に起因した大陸–日本列島の分裂や造山運動,大陸–日本列島陸橋やレフュジア形成に影響を及ぼした気候変動などに焦点が当てられてきており,地史が日本列島における生物の種多様化ならびに進化を考える上で重要であることは間違いない。しかしながら,系統地理・系統進化学的研究を行う生態学者と地学者との連携は未だ不十分なままである.
近年,昆虫や哺乳類,魚類,植物などで,国内の複数分類群の成果をまとめた総説や著書が報告されたように,様々な分類群の生物系統地理学的研究の成果は飛躍的に蓄積されつつある.このシンポジウムでは,中新世~鮮新世,更新世にかけての化石や環境史を研究している地学者と生態学者の間の連携及び知識の共有をすすめ,これまでの系統地理・系統進化学的研究の成果を改めて見直すとともに,生態学と地学が密接に連携した形での将来的な当分野の発展を目指す.
[S13-1] 日本列島を舞台とした系統地理・系統進化学研究における現状と残された課題
[S13-2] 日本列島形成史と古地理の変遷
[S13-3] 日本列島の温帯林はいつ成立したか?—汎世界的気候変動と日本列島の形成から—
[S13-4] 哺乳類食肉目の種多様性と生物地理的歴史
[S13-5] 複雑な日本列島の地史の影響を強く受けた昆虫類の遺伝構造と遺伝的多様性創出機構
[S13-6] 第四紀の大型植物化石相の地理分布から紐解く日本の植物地理形成過程
[S13-7] ゲノム系統学的手法から浮かび上がる地域固有植物種・個体群の分化史