ESJ58 企画集会 T23
3月11日 14:15-16:15 J 会場
企画者: 日鷹一雅(愛媛大・農)
近年、里地の生物多様性の保全・再生が推進されてきたが、その保全・再生対象は多
くの場合,RDBに掲載された希少種や絶滅が心配される種である。RDBの目的か
らして、当然の帰結であると言える。しかしながら、RDB掲載種偏重の裏で、非R
DBの健全であるはずの普通種の個体群が減少する現象を見逃してはならない。
「RDB種を保全・再生すれば、普通種は保全できるはずである」という論理は帰納
的・演繹的な検証がいまだ不十分であり,感覚的なものに過ぎないであろう。本集会
では、水田周りの里地里山の動植物の現状に焦点をあて、普通種といえども各地で減
少しつつある実態を紹介する。普通種個体群の減少は,昨今の農業生態系やそれを取
り巻く劇的な環境変化に起因していると考えられる。要因としては、農法の変化、農
薬の影響、圃場整備の影響、外来種の影響、維持管理放棄などのいくつかの仮説が挙
げられるだろう。本集会では、普通種個体群の激減要因についても,異なる分類群、
多様な景観スケ-ルの事例について、最新のトピックスを集約し議論を行う。そし
て,フィ-ルド調査や実験を通した環境影響評価に基づいて普通種個体群の激減に関
する謎解きについて言及する。
[T23-1] 里の爬虫両生類の受難の時代:整備と放棄と農法と 大澤啓志(日大・生物資源科学部)
[T23-2] 水田に依存した水生昆虫普通種の激減の主因-苗箱施用殺虫剤の影響評価 日鷹一雅(愛媛大・農)・本林 隆(農工大・農)
[T23-3] 有機水稲作農法イノベ-ションの里地の生物多様性に対する影響評価 嶺田拓也(農研機構・ 農工研)・東 淳樹(岩手大・農)・日鷹一雅(愛媛大・農)
[T23-4] 整備年代の異なる畦畔における植物種の出現パタ-ン 渡邉 修(信州大・農)