日本生態学会

Home会長メッセージ一覧

会長からのメッセージ -その8-

「生物多様性保全の視点から震災復興を考える」

(以下は、2012年9月2日付の生態系管理専門委員長ほか宛メールを一部改変したものです)

 先日、WWFJapanで鷲谷さんの話(「生物多様性保全の視点から震災復興を考える」)を伺いました。半年前に中静さんの話を聞く機会を逸してしまい、その後も情報が疎かったと思います。

 【学会として末尾のように、】放射線と切り離し、震災復興だけの意見を述べたのはよかったと思いますが、その後も復興に向けて事態が進展していますが、我々の要望通りには進まず、より具体的に憂慮する事態があるように聞いています。

 復興に関する意見は、生態系管理委員会で意見をまとめるほうが筋が通っていると思います。具体的なところで、様々な意見が出ていると思います。たとえば、堤防の復旧は下記11月4日付意見で提案した別の場所への設置より手続きが簡単な面があるが、復旧工事のための道路が砂浜に作られるなど、様々な問題が生じていると聞いています。それらがどの程度のものかはわかりませんが、会員(特に生態系管理専門委員が把握している諸問題)について、早急に意見をまとめ、学会として提案するほうがよいのではないでしょうか?

 超多忙と思いますが、幹事の力も借りて、11月4日意見に関する問題で、生態系管理委員会の中で合意できる具体的な意見を束ねることは、それほど難しくないと思います。もっと早く行動すべきだったかもしれませんが、まだ遅くない問題がいくつもあると思います。いかがでしょうか?

生態学会の東日本大震災被災地復興計画に対する要望書(2011.11.4)

(以下抜粋)

(4)生態系の自律的回復を促進しつつ、最大クラスの津波に対する防災計画を立案するうえで、堤防の位置を的確に配置することが重要であると考えられます。従来の海岸堤防は、人間の利用を重視して海よりに設置されてきました。このため、陸から海にかけての自然勾配の上部(潮位が高いときに冠水する高潮域)が堤防によって失われ、自然勾配の下部(低潮域や藻場など)にも悪影響が及んでいる場合が少なくありません。最大クラスの津波に対する防災計画立案にあたっては、陸から海にかけての自然勾配が持つ防災機能、堤防などの人工物による防災機能、防災訓練などソフト面での防災機能の相乗効果を追求し、これらを最適な形で組み合わせることが重要だと考えられます。現状復旧を基本とする従来の行政対策を弾力化し、海岸堤防の位置変更を含む案を検討することを要望します。

トップへ