日本生態学会

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会長からのメッセージ -その3-

「日本生態学会はヒアリの侵入対策に全面的に協力します」

 生態学の進歩と普及を図り、社会に貢献することを目的としている一般社団法人日本生態学会は、これまで培ってきた学術成果と知見、そして人材の提供などを通じて、特定外来生物であるヒアリの侵入対策に全面的に協力します。

 ヒアリは、世界の侵略的外来生物ワースト100にも掲載され、国内への侵入が最も懸念される生物種の1つです。その影響は、人の健康被害だけでなく、工業や農業を通じた経済への影響、そして様々なかたちで生態系に大きな影響をもたらすことが、これまでの研究で明らかになっています。グローバル化が進行するなか、生態学会としても警戒していましたが、2017年6~7月にかけて、兵庫県、大阪府、愛知県、東京都と相次いでヒアリが確認されました。これ以上のヒアリの侵入・拡散を防ぐためには、初期の対策と引き続く防除や監視体制の確立が肝要です。

 ヒアリ侵入という、未経験の課題に対処するときこそ、学術的な知見と経験が役立ちます。生態学会近畿地区会ならびに生態系管理専門委員会の研究者が中心となって、ヒアリ類に関する学術的な知見や対応について取りまとめを行い、環境省、国交省など国の行政機関や自治体に加え最前線で対策に取り組んでいる国際貿易に携わる方々への支援の意味も込めて、要望書を発出しました。( ※要望書はこちら

 外来生物への対応には、生態学をはじめ、分類学や農学、防除の技法といった基礎から応用、また学際的な取り組みや多様な主体による協働が不可欠です。日本生態学会には、地域とのつながりを持つ学会員が多数所属しています。生態学会は、多様な人材とネットワークとヒアリの生態や学術的知見を活かし、侵入防除や拡大防止対策、引き続く監視体制確立へと反映させるために尽力します。

2017年7月14日 会長 可知 直毅

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