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シンポジウム S10

基礎生態学からみた持続可能な農業の方向性 - 有機農業は自然にも人にもやさしいか? −

企画者: 日鷹一雅, 嶺田拓也

有機農業は、ヒト、自然環境、生態系に良い食料生産技術体系のように思われているが本当だろうか? 最近わが国では有機農業推進法が成立したが、農業環境政策の先進国EUではすでに同様の法律があり、有機農業に関する基礎研究は以前から行なわれている。日本やアジア諸国の現状はどうであろうか? 最近のEcology誌で,福岡で開発されたスクミリンゴガイを活用して除草に使う手法がアジア諸国に普及し,その結果生じた生態系撹乱が紹介されている。有機農業の名の下に不用意に生物を利用することは,生態系や生物多様性を撹乱し、場合によっては農業の持続可能性に障害をもたらす可能性さえある。

 本企画では、持続的農業の在り方について、農生態学の世界的リーダーである Gliessman 教授 (UC Santa Cruz)を招聘し、持続可能な農業の最新の理論について話題提供をいただくとともに、我が国とアジアの有機農業技術を題材に、環境影響評価、景観生態学、あるいは文化的視点からの総合的議論の場を企画した。

 我が国、アジアの持続可能な農業の方向性や研究のあり方について、基礎生態学をベースとした方向性について考えてみたい。

 (コメンテーター予定)

村本穣司 (UC santa Cruz):Gliessman 教授講演解題

上田哲行(石川県立大):IPMによるアカトンボの激減

 ほか 

[S10-1] はじめに: 日本とアジアにおける有機農業の技術的展開と生態学から見た諸問題 日鷹一雅(愛媛大・農)・村本穣司(UC Santa Cruz)・嶺田拓也(農村工学研究所 )

[S10-2] Agroecology: Ecological foundations for transition to sustainable food systems Stephen R. Gliessman (UC Santa Cruz)

[S10-3] 近代有機農業技術下の水田生態系の変容とその持続可能性 嶺田拓也(農村工学研究所)・日鷹一雅(愛媛大・農)

[S10-4] 持続的農業に必要な景観生態学の視点:有機農業だけではどうにもならない  山本勝利(農業環境技術研究所)

日本生態学会