| 要旨トップ | ESJ56 企画集会 一覧 | 日本生態学会第56回全国大会 (2009年3月,盛岡) 講演要旨


企画集会 T20 -- 3月19日17:30-19:30 I会場

里山イニシアティブをめざした生物多様性と生態系サービスの評価

企画者: 杉村 乾(森林総研), 牧野俊一(森林総研), 前藤薫(神戸大・農), 吉田謙太郎(筑波大・工)

 自然との共生のモデルを世界に提案することで、地域ごとの自然や社会条件に応じた持続可能な社会づくりに貢献することが、生物多様性国家戦略にある「里山イニシアティブ」である。しかし現実には、天然林が人工林に置き換えられる一方で、管理が行き届かない二次林も増えてきた。この現状を"人間活動と森林との関わり"として総合的にとらえ、生物多様性、生態系サービス、経済評価といった形で示すことが問題解決に向けてのツールになりうると考え、4つのプロジェクトを結びつける方向で模索している。

 まず、(1)生態系サービスの基盤として、人工林や天然林、異なる発達段階の森林を比較することによって、人間活動で改変されるか、管理が行き届かなくなった森林等における生物多様性を評価した事例を紹介する。(2)森林が農地に隣接することによって、送受花や害虫制御といった調整サービスをもたらしていると考えられるが、このような働きをする昆虫の生息環境である森林の役割評価についての研究を紹介する。(3)ランドスケープの変化が森林利用や社会的ニーズとどのように連動してきたか、いくつかの事例を示す。(4)上記のような研究成果をもとに、どのような手法で生物多様性がもたらす生態系サービスを経済的に評価することができるか、手法の比較を論じるとともに、新たな試みを紹介する。

 最後に、以下の論点を中心にディスカッションしていきたい。(a)ランドスケープの変化が生物多様性と生態系サービスに与える影響、(b)生物多様性と生態系サービスの関係、(c)生態系サービスの評価手法

コメンテータ予定:中静透(東北大学・生命科学研究科)

[T20-1] 里山林の生態系機能の評価 田中浩,牧野俊一,岡部貴美子(森林総研)

[T20-2] 林から農へ:里山ランドスケープ機能の持続的な発揮 滝久智(森林総研),前藤薫(神戸大・農)

[T20-3] 資源利用から文化的サービスへ−生態系サービスの劇的な変化 宮本麻子,田中伸彦(森林総研)

[T20-4] 生物多様性と生態系サービスの経済評価の課題 大床太郎(森林総研),吉田謙太郎(筑波大・工)


日本生態学会