| 要旨トップ | ESJ60 企画集会 一覧 | | 日本生態学会第60回全国大会 (2013年3月,静岡) 講演要旨 ESJ60 Abstract |
企画集会 T13 -- 3月6日 17:00-19:00 B会場
「移動とは何か?どのように進化してきたのか?そしてどういった生態学的な影響をもつ現象か?」この質問に、迷いなく回答可能な方はいったいどれだけいるだろう。渡り鳥は渡る。サケは母川へ帰る。タンポポの種は飛ぶ。ヒトは、引越しをする。いずれも移動である。しかしこのような移動シンドロームはどのように適切に分類され、それぞれにはどのような面白さが秘められているのであろうか?
移動分散現象というのはほんらい進化生態学の中心的なトピックであるにもかかわらず、その測定上の困難から、「測定精度の向上、至近要因の追究」に大きな焦点が当てられてきた。しかしそれは本来、生態学的に重要なプロセスや結果を理解するための、手段であったはずだ。それではいったい、これまでの研究によって、どういった意義深い進化生態学的な結果が得られているのであろうか?
本企画集会では、「移動分散の及ぼす生態学的な効果」、「移動分散を形成する生態学的な要素」を適切に分類する事の重要性と、そしてそれらを統合的に取り扱うことの重要性を議論する。そのために、まず企画者である入谷亮介(九州大院)が、進化生態学上の「移動分散の研究」の面白さを、手短に紹介する。続いて、北村俊平氏(石川県立大)には「動物を利用する植物の種子散布」に関して、および廣田忠雄氏(山形大)には「繁殖行動と移動行動」に関して、それぞれ「植物の移動」、「動物の移動」という観点からレビューしていただく。最後に入谷が、移動分散に関する研究で明らかになっていることを理論的な立場から柔らかくレビューし、自身の研究成果を紹介するとともに、理論・実証の両面から今後明らかにせねばならない問題を提起する。
本企画集会を通じて、いっけんトリビアルである移動分散の、真の重要性やその面白さを、みなさんにたっぷりとお伝えすることを、いちばんの目標とする。
[T13-1] 動物による種子散布を中心とした植物の種子散布戦略
[T13-2] 分散を促す繁殖行動と分散によって促される繁殖行動
[T13-3] 移動分散の進化モデルで明らかにされたことと、これから明らかにすべきこと