| 要旨トップ | ESJ66 自由集会 一覧 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


自由集会 W10  3月15日 18:45-20:15 Room G

大きな攪乱からの海浜植生の回復ポテンシャル(群落談話会)
Recovery potential of coastal dune vegetation from major disturbances (Meetings of plant comunities)

澤田佳宏(兵庫県立大・院・緑景観マネ/淡路景観園芸学校), 前迫ゆり(大阪産大・院・人間環境)
Yoshihiro SAWADA(Grad School of Landscape Design & Management, Univ. of Hyogo / Awaji Landscape Plan. & Hort. Academy), Yuri Maesako(Grad School of Human Environment, Osaka Sangyo Univ.)

海浜植生(海岸砂丘植生)は、頻度/強度の異なる様々な自然攪乱を受ける立地に成立している。たとえば、台風時の高波は頻繁に海浜植生の前線を破壊し、また、津波はそれよりも低頻度であるが、後背の海岸林に至るまで植生を全面的に破壊する。海浜植生の構成種はこれらの自然攪乱に適応しており、植生が破壊された後でも速やかに植生が回復すると考えられる。しかし現在の海浜植生は、開発や観光などの様々な人為の影響下にあり、これらの人為的な要因が回復のポテンシャルに影響を及ぼしている可能性がある。海浜植生の保全に当たっては、海浜植生本来の回復ポテンシャルを把握するとともに、どのような人為によってどのように回復ポテンシャルが影響を受けているのかを見極める必要がある。
 そこで、本集会では、海浜植生について精力的に研究を進めている以下の4名から話題提供を行う。島田は、東日本大震災に伴う津波による破壊からの海浜植生の回復について、主に三陸海岸での調査に基づいて報告する。黒田は、山陰海岸のイソスミレを例に、海浜の規模縮小が海浜の希少種の存続に及ぼす影響について、種生態を交えて考察する。澤田は、主に淡路島で行われた調査にもとづき、人間活動のタイプごとに回復への影響の違いについて報告する。永松は、鳥取砂丘における観光と保全との関連について、これまでの地域の取り組みなどの事例を踏まえて報告する。これらの報告をもとに、鎌田磨人氏(徳島大)をコメンテーターに迎え、海浜植生の回復ポテンシャルとそれに及ぼす人為の影響について議論をおこない、今後の海浜植生の回復と保全につなげたい。

[W10-1]
東日本大震災津波後の海浜植生の回復 島田直明(岩手県立大学)
Recovery of coastal dune vegetation after the tsunami caused by the great east Japan erthquake Naoaki Shimada(Iwate Prefectural Univ.)

[W10-2]
海浜の縮小が希少植物種の存続に及ぼす影響-イソスミレを例に 黒田有寿茂(兵庫県立大学)
Effects of reduction of coastal dunes on the persistence of rare plant species: a case study of Viola grayi Asumo Kuroda(University of Hyogo)

[W10-3]
工事や整地が行われた後の海浜植生の回復 澤田佳宏(兵庫県立大学, 淡路景観園芸学校)
Recovery potential of coastal dune vegetation following construction and bulldozing Yoshihiro Sawada(Univ.of Hyogo, Awaji Landscape P&H Academy)

[W10-4]
鳥取砂丘における海浜の生態系保全と観光振興のせめぎあい 永松大(鳥取大学)
Conflict between conservation and tourism promotion of coastal vegetation in Tottori Sand Dunes Dai Nagamatsu(Tottori Univ.)


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