| 要旨トップ | ESJ67 シンポジウム 一覧 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


シンポジウム S20  3月6日 9:30-12:30 Room F

分子から探る生物の季節性:感知メカニズム、適応進化、生物間相互作用
Molecular approaches toward understanding seasonality of life: sensing mechanism, adaptive evolution and organismal interactions.

本庄三恵(京都大学 生態学研究センター), 石川麻乃(国立遺伝学研究所)
Mie N. HONJO(Center for ecological reaserch, Kyoto Univ.), Asano ISHIKAWA(National Institute of Genetics)

季節変化は一年を周期とする大きな環境の変化であり、それとともに多様な生物種の生活スケジュールが顕著な季節性を示す。そのため、これらの生物にとって季節を正確に感知することは、生存・成長・繁殖の効率をあげる上で重要である。このことは、生活スケジュールの季節性自体が自然選択の対象であり、集団間分化や局所適応が起きる可能性を示している。同様に、農業生態系においても、季節応答性が作物に対する人為選択の主要な対象となってきた。さらに、病原生物などの個体数が季節変化するために、生物間相互作用が構成種の応答や進化の決定要因と成る。最近、これらの現象について、その分子メカニズムに踏み込んだ研究がなされるようになってきた。
季節を感知するメカニズムについては、様々な生物で研究がなされるようになり、その多様性と共通性の理解が進んでいる。自然生態系での研究は、分子メカニズムの機能に関する新たな知見を生みだしている。季節性の適応進化の背景にある遺伝子についても、非モデル生物の遺伝子ノックアウト技術や次世代シーケンサーを用いたゲノムワイドな解析技術により、実証的にアプローチすることが可能になった。特に、RNA-Seqのハイスループット化は、より複雑な自然条件下における生物間相互作用の解析を可能とした。
 本シンポジウムでは、昆虫から脊椎動物、植物と幅広い生物について季節性に関わる分子機構の研究を話題提供し、その多様性と共通性、ミクロとマクロの融合による新たな研究の可能性について議論したい。

[S20-1]
野生植物のウイルス感染に対する季節応答性 *本庄三恵(京都大・生態研セ)
Seasonal responses to viral infection in wild plant *Mie N. HONJO(Kyoto Univ.)

[S20-2]
コムギ近縁野生種における集団構造と出穂期制御の関係、及びその育種利用 *宅見薫雄(神戸大・院・農)
Population structure and heading time variation in wild wheat relatives and their breeding use *Shigeo TAKUMI(Kobe Univ.)

[S20-3]
昆虫の季節性に関わる概日時計ネットワーク *志賀向子(大阪大・院・理)
Circadian clock networks involved in insect seasonality *Sakiko SHIGA(Osaka Univ.)

[S20-4]
イトヨの多様な季節性生活史の進化とその遺伝機構 *石川麻乃(国立遺伝研)
Genetic mechanisms underlying evolution of seasonal life history in sticklebacks *Asano ISHIKAWA(National Institute of Genetics)

[S20-5]
脊椎動物の季節適応機構の解明にむけて *吉村崇(名古屋大・WPI-ITbM)
Towards understanding the seasonal adaptation mechanisms in vertebrates *Takashi YOSHIMURA(Nagoya Univ.)


日本生態学会