| 要旨トップ | ESJ67 シンポジウム 一覧 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


シンポジウム S25  3月6日 9:30-12:30 Room M

里地里山保全におけるベースライン探索:アグロエコロジーからのアプローチ
Searching for conservation baselines in Satoyama and Agriculture: Approached from Agroecology

日鷹一雅(愛媛大学大学院・農学研究科), 楠本良延(農研機構・西日本農研センター)
Kazumasa HIDAKA(Ehime Univ. Agronomy), Yoshinobu KUSUMOTO(Western Japan Agricultural research Center)

生態系や生物多様性の適切な保全・再生において、過去・現在・未来を見据えたベースラインを時・空間的に見極め、研究することは重要であり、生態学や様々な分野の学際的融合が必要である。とくに、ここで題材とする里地里山は、農林水産業や防災との関係性が強く現在に至り、今後の持続的管理のあり方や継続が問われる生態系であり、多様な現場においてベースラインをどこに置くかを見据えながら、適応的管理を進める必要がある。例えば、昨今ではともすると、現実に直面するした生物多様性や農村の存続危機の再生に力点を置く一方で、保全の現場である農村漁村の時・空間的な過去の変遷を深く理解せずに、本来の持続的管理とはかけ離れた提言や方策を施してしまうことにも留意しなければならないだろう。そこで、本シンポジウムでは、アグロエコロジー「伝統的な 地域の在来知や巧みな技を重視しながらも近代生態学を駆使し、また農学、文化人類学なども取り込みながらの学際的分野」の視点から、里地里山の適切な管理についてベースラインをよりどころに再考を試みる。今回は、歴史的に重層な農林水産業を永年行ってきた日本の農村を題材にして、各地で里地里山のベースラインを研究している生態学者による集会をここに企画した。日本の里地里山のベースラインは、後背湿地型の水田や陸上生態系生態の遷移初期相の草地を中心に、その保全の重要性が近年語られることが多かったが、果たしてそれだけで事足りるのか? また里地里山の景観的構造を把握する手法が発達しているが、機能や歴史文化についても含むベースラインを掘り起こす場合に、それで十分なのか? 村落の歴史や在来、外来の資源利用や生物多様性の変遷など、過去の統計資料や現地の踏破を交えた成果といった重層性のあるデータベースを基に、保全のベースラインを探る試みから、今後の持続的な農業・農村・里山生態系管理を目指して考察する。

[S25-1]
過去の植生の読み解きと里山草地の保全 *楠本良延(西日本農研センター)
Historucal reading the past vegitation and grassland consenvation in Satoyama *Yoshinobu KUSUMOTO(WARC/NARO)

[S25-2]
里山の植物種の組成と多様性におよぼす人間活動の諸影響 *小林慶子(西日本農研センター)
Inpacts of human activities on plant species composition and diversity in rural landscape *Yoshiko KOBAYASHI(WARC/NARO)

[S25-3]
鳥獣罠センサー設置エリアからみた里地里山ベースラインの探索 *渡邉修(信州大・院・農)
Searching for a baseline of the agricultural land fields in which setting area to the harmful animal trap sensor *Osamu WATANABE(Shinshu Univ. Agronomy)

[S25-4]
多様な農生態系の基盤:作付体系・生物記録の掘り起しからの地域農業の可能性 *日鷹一雅(愛媛大学・院・農学)
Bases of diverse agroecosystems *Kazumasa HIDAKA(Ehime Univ. Agronomy)


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