| 要旨トップ | ESJ67 自由集会 一覧 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


自由集会 W15  3月7日 17:00-18:30 Room D

生き物や自然に対する市民の意識を定量化し保全や管理に活かす
Measuring the public awareness in plants and animals to promote conservation and management.

曽我昌史(東京大学大学院農学生命科学研究科), 深野祐也(東京大学大学院農学生命科学研究科)
Masashi SOGA(The University of Tokyo), Yuya FUKANO(The University of Tokyo)

生態学会に参加する人は、基本的に、生き物好きだろう。では、大多数の平均的な市民は、自然や生き物をどのように捉えているだろうか。実は、われわれが考えているよりもはるかに自然や生物に関心がないかもしれない。例えば、「生物多様性」という単語を聞いたことがない人が日本・アメリカ・イギリスで40%近くいるというデータに、あなたは衝撃を受けないだろうか。
しかしながら、今後、生物多様性の保全を主流化し、保全に関する様々な目標を達成するためには、生態学会に参加するような専門家だけでなく、大多数の一般の市民の理解や支援、協力が必要不可欠である。そして、市民の適切な協力を得るためには、市民が自然や生物をどのように捉えているのかを定量化することが第一歩である。市民がどのような要因によって生き物への意識を変化させるか、その時間的・空間的な変動要因を特定することで、効果的な生物多様性保全の施策やアウトリーチ、普及啓発につながるだろう。
本集会では、広域アンケート・SNSデータの解析・Google Trendsなど、多様なツールを用いて、市民の生き物や自然への意識(身のまわりの動植物や絶滅危惧種に対する関心・保全意欲、子供の虫嫌い、自然体験意欲)を“大規模に”解析した研究例をいくつか紹介する。大規模に解析して初めて、大多数の平均的な市民が生き物をどのように捉えているかを垣間見ることができるだろう。加えて、各研究から見えてきた市民の意識の定量化とその駆動要因を踏まえて、どのようにすれば市民により自然に関心を持ってもらえるか、そしてどのような施策や普及啓発をすれば有効な保全や管理につながりうるのかを参加者とともに議論したい。

[W15-1]
何が絶滅危惧種への関心を高めるのか?そして関心の増加は保全につながるか? *深野祐也(東京大学)
What factors affect public interests in endangered animals? *Yuya FUKANO(The University of Tokyo)

[W15-2]
植物好きはどこにいる?++ *小黒芳生(森林総合研究所)
Where the Plant Lovers Are++ *Michio OGURO(FFPRI)

[W15-4]
経験の消失時代に生き物嫌いの増加をどう防ぐか? *曽我昌史(東京大学)
How can we mitigate against increasing biophobia during the extinction of experience? *Masashi SOGA(The University of Tokyo)


日本生態学会