| 要旨トップ | ESJ67 自由集会 一覧 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


自由集会 W19  3月7日 18:45-20:15 Room C

農地景観における送粉サービス向上への生態学徒の挑戦
Challenges for improving pollination services in agricultural landscapes

中村祥子(森林総研), 横井智之(筑波大・院・保全生態), 日下石碧(農研機構・農環研)
Shoko NAKAMURA(FFPRI), Tomoyuki YOKOI(Univ. of Tsukuba), Aoi NIKKESHI(NARO NIAES)

近年、多くの生態学者らによって、生態学の知識を駆使した生物多様性と生態系サービスの研究が推し進められている。これまで生態学の分野では、個体から群集にいたるまで様々な生物を対象とした研究が行なわれ、生活史・種間相互作用・周辺環境の効果といった面が明らかにされてきた。さらに生態系として農地や都市、森林環境を取り上げ、生物群集の構造や多様性が持続的に維持される機構を探る試みが続けられている。一方でこれらの基礎的研究の知見は生態系の理解に大いに役立てられているものの、現場での応用研究へのフィードバックが十分になされていない現状がある。そこで企画者らは、生態学の基礎的知見を活用して、農地景観が直面する2つの重要課題、すなわち作物の生産性向上と生物の生息地ポテンシャルの強化を同時実現するという、挑戦的な集会を企画した。花粉媒介者の質や量によって生産量に変動が生じる顕花作物においては、送粉サービスの安定性と増強が求められている。農地の周辺景観や農地管理の方法は、採餌・営巣資源の変化を通じ、花粉媒介昆虫の数や多様性に影響を与えるとともに、彼らを介し作物の生産性にも大きく関係している。近年の大規模かつ急激な気象変動は、花粉媒介昆虫群集と、そのネットワークの変動をもたらすとともに、作物の結実や収量にも影響を及ぼすと考えられる。そこで今回は「送粉サービス」「時空間」「レジリエンス」のキーワードの元に、作物生産と農業景観における生物多様性保全の未来を語るにふさわしい研究者を参集した。これは、生態学の基礎的研究を武器として応用研究へと闘いを挑む研究者たちの楽しい集会である。

[W19-1]
畔植物の多様性が高めるソバの送粉サービス:多様性保全と作物生産のwin-win関係 *永野裕大(筑波大・院・保全生態), 宮下直(東大・農), 滝久智(森林総研), 横井智之(筑波大・院・保全生態)
Diverse wild plants on ridges enhance pollination services to buckwheat: the win-win relationship between conserving biodiversity and crop production *Yuta NAGANO(Univ. of Tsukuba), Tadashi MIYASHITA(The Univ. of Tokyo), Hisatomo TAKI(FFPRI), Tomoyuki YOKOI(Univ. of Tsukuba)

[W19-2]
ソバの送粉サービスのレジリエンスをうみだす小型昆虫 *林将太(東大・農), 滝久智(森林総研), 宮下直(東大・農)
Small insects facilitate resilient pollination services in buckwheat *Shouta HAYASHI(The Univ. of Tokyo), Hisatomo TAKI(FFPRI), Tadashi MIYASHITA(The Univ. of Tokyo)

[W19-3]
カキノキの送粉者とその果樹園下草(シロツメクサ)との関係 *日下石碧(農研機構・農環研), 井上広光(農研機構・果茶研), 新井朋徳(農研機構・西農研), 岸茂樹(農研機構・農情研), 加茂綱嗣(農研機構・農環研)
Pollinators of Oriental persimmon (Diospyros kaki) and their interactions with orchard groundcover, white clover (Trifolium repens) *Aoi NIKKESHI(NARO NIAES), Hiromitsu INOUE(NARO NIFTS), Tomonori ARAI(NARO WARC), Shigeki KISHI(NARO RCAIT), Tsunashi KAMO(NARO NIAES)


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