| 要旨トップ | ESJ68 自由集会 一覧 | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨
ESJ68 Abstract


自由集会 W13  3月20日 17:00-18:30 Room E

手法から読み解く生態学
Ecology to understand from analytical methods

日下石碧(農研機構 農業環境変動研究センター), 山路恵子(筑波大学 生命環境)
Aoi NIKKESHI(NARO NIAES), Keiko YAMAJI(University of Tsukuba)

生態学を理解する上での研究手法の発展はめざましく、ドローンを用いた画像解析や次世代シーケンサーを用いたDNA分析などの解析技術に加え、解析するためのプログラム言語もR言語だけでなくPythonなど多岐にわたるようになってきた。その一方で分析機器の原理やプログラム言語を事前に学習する必要があるため、ハードルが高い場合がある。また、研究内容によっては、手法的に困難な場合や、とにかくデータ数が必要でパワーエコロジーでしか解決できない研究内容もある。その解決策として、委託分析を依頼しデータ収集をする研究事例も近年は多いが、その場合は潤沢な資金が必要であると言わざるを得ない。また、データ数取得を優先することで、簡易的な分析手法に依存し、精度の低い分析結果から解析・考察を実施する研究事例も少なくない。生態学における解析手法には「最も良い手法」は存在せず、各研究者が「どこに解析の焦点を当てるか」という点を明確にすることが重要と推察される。そのため、今後は、適宜解析を取捨選択し、時には全く新しい手法の開発や、これまでの手法の効率化や組み合わせを試みながら研究を進めていく必要がある。
そこで本集会では、昆虫・菌類・植物を研究対象としている企画者を含めた4名の演者に、とくに論文では示されていない詳細な手法やサンプルサイズに対する労力、試行錯誤の上工夫した点や失敗談などを含めて、研究手法を中心に経験談を講演していただく。これから研究を始める学生や、新しい手法が必要な方のブレイクスルーの一助になればと考えている。そのため、今回の集会では、大きな一つの結論は出さずに、これからどういう進展がありそうかについてまとめていきたい。

[W13-1]
昆虫分類学の研究手法 *山迫淳介(農研機構 農環研)
Procedures of insect taxonomy *Junsuke YAMASAKO(MARO NIAES)

[W13-2]
リョウブと内生菌の共生関係に影響する環境要因:重金属及び放射性Cs *山路恵子(筑波大学 生命環境), 星美咲(筑波大学 生命環境), 日下石碧(農研機構 農環研), 升屋勇人(森林研究 整備機構)
Heavy Metals and Radio Cs Influence the Symbiosis between Clethra barbinervis and Root Endophytes *Keiko YAMAJI(University of Tsukuba), Misaki HOSHI(University of Tsukuba), Aoi NIKKESHI(NARO NIAES), Yuuto MASUYA(FFPRI)

[W13-3]
鉱山跡地に自生する林床植物アオキの重金属耐性と内生菌の関与 *土山紘平(筑波大学 生命環境), 山路恵子(筑波大学 生命環境), 春間俊克(日本原子力研究機構), 升屋勇人(森林研究 整備機構)
Heavy Metal Tolerance in Understory Plant, Aucuba japonica, Naturally Growing at Mine Site and the Functions of Root Endophytes *Kohei DOYAMA(University of Tsukuba), Keiko YAMAJI(University of Tsukuba), Toshikatsu HARUMA(JAEA), Yuuto MASUYA(FFPRI)

[W13-4]
少量の花粉からの栄養分析手法の開発 *日下石碧(農研機構 農環研), 藏滿司夢(筑波大学 生命環境), 横井智之(筑波大学 生命環境), 山路恵子(筑波大学 生命環境)
Development of a nutritional analysis method for small amounts of pollen *Aoi NIKKESHI(MARO NIAES), Kazumu KURAMITSU(University of Tsukuba), Tomoyuki YOKOI(University of Tsukuba), Keiko YAMAJI(University of Tsukuba)


日本生態学会