| 要旨トップ | ESJ68 自由集会 一覧 | 日本生態学会第68回全国大会 (2021年3月、岡山) 講演要旨
ESJ68 Abstract


自由集会 W17  3月21日 17:00-18:30 Room C

「縞枯れ」研究の今:枯死のメカニズムから景観ダイナミクスに迫る
Update of wave-regeneration study: Mechanisms of tree mortality and landscape dynamics

鈴木智之(東京大学・農), 種子田春彦(東京大学・理)
Satoshi SUZUKI(University of Tokyo), Haruhiko TANEDA(University of Tokyo)

「縞枯れ」は、枯死木が帯状に配列し、それが並行した複数の帯になっているために遠景では縞状に樹木が枯れているように見える現象である。その規模は様々であるが、亜高山帯のモミ属の優占する森林で広く観察される。枯死木帯の卓越風の風下側の林冠木が枯死することで、枯死木帯は風下側に拡張し、風上側で樹木の更新が起きることで、枯死木帯は移動する。この枯死と更新の繰り返しが常に起きることで、景観スケールでは様々な発達段階の林分が混在するshifting mosaicの状態になっている典型的な森林として、1950年代より盛んに研究されてきた。しかし、生態学の研究としては、その異なる発達段階の林分のスナップショットを時間的連続軸として捉えた研究が多く、実際にダイナミクスを明らかにした研究は意外に少ない。また、その枯死の原因が風であることは古くから言われているが、枯死していく個体で実際何が起きているか、どのようなメカニズムで個体が枯死するか、はよくわかっていない。個体の枯死の速度は、縞枯れ全体の枯死木帯の推移速度に直接的に関係する。本集会では、縞枯れ林の個体の枯死のメカニズム・プロセスから景観レベルでのダイナミクスの解明への手がかりを探っていきたい。

コメンテーター 甲山隆司

[W17-1]
縞枯れではどうやって風が針葉樹を衰退させるのか? *種子田春彦(東京大学・理), 小笠真由美(森林総研関西), 矢崎健一(森林総研北海道), 丸太恵美子(神奈川大・理)
Critical effect of prominent wind on decline of subalpine conifers in wave regeneration *Haruhiko TANEDA(University of Tokyo), Mayumi OGASA(Kansai Res. Ctr., FFPRI), Kenichi YAZAKI(Hokkairo Res. Ctr., FFPRI), Emiko MARUTA(Kanagawa University)

[W17-2]
縞枯樹木の水利用の現状−衰退は気孔開閉に顕れているか− *宮沢良行(九州大学), 種子田春彦(東京大学・理), 杉浦大輔(名古屋大学・農)
Water use of subalpine conifers growing in wave regeneration -Does decline of trees change stomatal regulation of conifer needles?- *Yoshiyuki MIYAZAWA(Kyushu University), Haruhiko TANEDA(University of Tokyo), Daisuke SUGIURA(Nagoya University)

[W17-3]
年輪解析から見えてきた縞枯れにおける常緑針葉樹の枯死パターン *谷口晃基(東京大学・農), 種子田春彦(東京大学・理), 安江恒(信州大学・山岳研), 福田健二(東京大学・農)
Tree ring tells dieback patterns of subalpine conifer in wave regeneration *Koki TANIGUCHI(Grad. Sch. Agri., Univ. Tokyo), Haruhiko TANEDA(Grad. Sch. Sci., Univ. Tokyo), Koh YASUE(MRI, Shinshu Univ.), Kenji FUKUDA(Grad. Sch. Agri., Univ. Tokyo)

[W17-4]
北八ヶ岳縞枯れ林における卓越風の特徴と縞枯れの推移 *岩本宏二郎(森林総研多摩科学園), 齊藤哲(森林総研関西), 鵜川信(鹿児島大学・農), 勝木俊雄(森林総研多摩科学園), 福田健二(東京大学・農)
Characteristics of the prevailing wind and the wave-regeneration pattern on northern Yatsugatake Mountains. *Kojiro IWAMOTO(Tama For. Sci. Garden, FFPRI), Satoshi SAITO(Kasai Res. Str., FFPRI), Shin UGAWA(Kagoshima University), Toshio KATSUKI(Tama For. Sci. Garden, FFPRI), Kenji FUKUDA(University of Tokyo)


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