自由集会 W01 3月17日 16:30-18:00 Room A, 現地開催/ライブ配信あり/見逃し配信対応
日本から発信する島嶼生物学3―気候変動と島の生物
Island Biology from Japan: Climate change and Island Biota
水澤玲子(福島大学), 阿部晴恵(新潟大学(佐渡自共セ)), 渡邊謙太(沖縄工業高等専門学校), 安藤温子(国立環境研究所)
Leiko MIZUSAWA(Fukushima Univ.), Harue ABE(Niigata Univ.), Kenta WATANABE(Okinawa KOSEN), Haruko ANDO(NIES)
島は進化の実験場ともいわれ、生態学的・進化生物学的に非常に興味深い対象である。近年、島嶼の生物に関する全球規模の情報の共有が進み、世界の様々な島嶼域を対象とした比較研究が盛んになっている。日本においても、これまでに多くの優れた島嶼生物学的研究が行われてきた。さらに言えば、日本が島国である以上、離島に限らず日本列島で行われている生態・進化生物学的研究は、すべて島嶼生物学的研究として捉えることも可能である。しかし、現在の世界の島嶼生物学の中で、必ずしも日本発の研究が相応に認知されているとは言えない。優れた研究にも関わらず、世界の島嶼生物学分野の研究コミュニティにおいて十分にアピールできていないことも一つの要因と思われる。本自由集会のシリーズでは、以上のような視点から、日本の島々で行われている生態学・系統地理学・進化生物学的研究が、世界の島嶼生物学の中で果たしうる役割を再考・展望することを目的とする。
今回は「日本から発信する島嶼生物学」シリーズの第三弾として、気候変動が島の生物に及ぼす影響に着目する。まず、現在の気候変動の話題として、造礁サンゴ類と陸上植物の分布域の変化に関する研究を、次に、過去の気候変動の話題として、日本のノウサギの季節性毛色変化の進化に関する研究を紹介する。そして将来的に懸念される影響として、伊豆諸島におけるトカゲとヘビの被食―捕食関係が温暖化によって攪乱される可能性について紹介する。
島嶼生態系は面積が小さく標高も低い環境に成立しており、分布域の移動には物理的な制約があるため、気候変動に対して脆弱であると考えられる。また、外来生物等の影響が気候変動と組み合わさった時、日本列島の生物多様にはどのような変化が予想されるだろうか。講演をきっかけに議論したい。
[W01-1]
複雑なプロセス(温暖化・競争・散布・障壁)を経て分布移動する植物たち *小出大(国立環境研究所)
Moving plants through complex processes: warming, competition, dispersal, and barriers *Dai KOIDE(NIES)
[W01-2]
気候変動下の造礁サンゴ類の遺伝的多様性と北限温帯海域のレフュージアとしての可能性 *安田仁奈(宮崎大学), 志村晶史(宮崎大学), 中林朗(宮崎大学), Supisara PIPITHKUL(Miyazaki Univ.), 深見裕伸(宮崎大学), 石津颯太(宮崎大学), 山北剛久(海洋研究開発機構), 中村隆志(東京工業大学), 井口亮(産業技術総合研究所), 北野裕子(国立環境研究所), 横地洋之(東海大学), 長井敏(水産研究・教育機構), 手島康介(九州大学)
The potential role of northern temperate region as refugia for reef-building corals and their genetic diversity in face of climate change *Nina YASUDA(Miyazaki Univ.), Akifumi SHIMURA(Miyazaki Univ.), Aki NAKABAYASHI(Miyazaki Univ.), Supisara PIPITHKUL(Miyazaki Univ.), Hironobu FUKAMI(Miyazaki Univ.), Sota ISHIZU(Miyazaki Univ.), Takehisa YAMAKITA(JAMSTEC), Takashi NAKAMURA(Tokyo Tech.), Akira IGUCHI(AIST), Yuko F KITANO(NIES), Hiroyuki YOKOCHI(Tokai Univ.), Satoshi NAGAI(FRA), Kosuke M TESHIMA(Kyushu Univ.)
[W01-3]
島嶼固有種のノウサギにおける季節性毛色変化の進化 *木下豪太(国立遺伝学研究所), 布目三夫(岡山理科大学), 郷康広(自然科学研究機構), 牧野能士(東北大学), 辰本将司(自然科学研究機構), Alexey P KRYUKOV(RAS Vladivostok), Sang-Hoon HAN(NIBR Incheon), Irina KARTAVTSEVA(RAS Vladivostok), 永野惇(龍谷大学), 山田文雄(森林総合研究所), 井鷺裕司(京都大学), 北野潤(国立遺伝学研究所), 鈴木仁(北海道大学)
The evolution of seasonal coat color change of an island-endemic hare *Gohta KINOSHITA(NIG), Mitsuo NUNOME(Okayama Univ. Sci.), Yasuhiro GO(NINS), Takashi MAKINO(Tohoku Univ.), Shoji TATSUMOTO(NINS), Alexey P KRYUKOV(RAS Vladivostok), Sang-Hoon HAN(NIBR Incheon), Irina KARTAVTSEVA(RAS Vladivostok), Atsushi NAGANO(Ryukoku Univ.), Fumio YAMADA(FFPRI), Yuji ISAGI(Kyoto Univ.), Jun KITANO(NIG), Hitoshi SUZUKI(Hokkaido Univ.)
[W01-4]
ヘビの捕食圧と温暖化が促したオカダトカゲの体温上昇と形態進化 *伊藤舜(東北大学), Félix LANDRY YUAN(Univ. Hong Kong), Toby P N TSANG(Univ. Hong Kong), 栗山武夫(兵庫県立大), 山﨑楓(東邦大学), Timothy C BONEBRAKE(Univ. Hong Kong), 長谷川雅美(東邦大学)
Predator presence and recent climatic warming raise body temperatures of Izu island lizards *Shun ITO(Tohoku Univ.), Félix LANDRY YUAN(Univ. Hong Kong), Toby P N TSANG(Univ. Hong Kong), Takeo KURIYAMA(Univ. Hyogo), Kaede YAMASAKI(Toho Univ.), Timothy C BONEBRAKE(Univ. Hong Kong), Masami HASEGAWA(Toho Univ.)