| 要旨トップ | ESJ70 自由集会 一覧 | | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨 ESJ70 Abstract |
自由集会 W01 3月19日 10:30-12:00 Room A
島は進化の実験場ともいわれ、生態学的・進化生物学的に非常に興味深い対象である。近年、島嶼の生物に関する全球規模の情報の共有が進み、世界の様々な島嶼域を対象とした比較研究が盛んになっている。日本においても、これまで伊豆諸島や小笠原諸島、琉球列島を中心に多くの優れた島嶼生物学的研究が行われてきた。また、日本が島国である以上、離島に限らず日本列島で行われている生態・進化生物学的研究は、すべて島嶼生物学的研究として捉えることも可能である。しかし、現在の世界の島嶼生物学の中で、必ずしも日本発の研究が相応に認知されているは言えない。優れた研究にも関わらず、世界の島嶼生物学分野の研究コミュニティにおいて十分にアピールできていないことも一つの要因と思われる。
本自由集会のシリーズでは、以上のような視点から、日本の島々で行われている生態学・系統地理学・進化生物学的研究が、世界の島嶼生物学の中で果たしうる役割を再考・展望することを目的とする。
今回は「日本から発信する島嶼生物学」シリーズの第四弾として、日本の島嶼に生育する植物における4つのisland syndrome(島症候群; 島の生物に共通してみられる進化の傾向)をめぐる研究を紹介する。具体的には、トベラ属植物の適応放散、高密度のシカに対する矮小進化、送粉者相に対する花形質の進化、自殖性と雌雄異株性の割合の増加に関する研究を紹介し、日本の島嶼においてisland syndromeと関連してどのような傾向がみられるのか、またどのような研究が可能かについて検討・議論する。
[W01-1]
遺伝子とフィールドから読み解く海洋島の適応放散:小笠原諸島の事例
Necessity of "fieldwork and lab work" two-way approach for adaptive radiation: a case of Ogasawara Islands
[W01-2]
シカが高密度で生息する島における植物の矮小進化:屋久島における事例
Plant dwarfism in islands with high density of deer: A case study in Yakushima Island
[W01-3]
島嶼の送粉者相と花形質の進化
The pollinator fauna and floral trait evolution on islands
[W01-4]
日本の島嶼における植物の自殖と他殖
The reproductive biology of island plants in Japan