| 要旨トップ | ESJ57 企画集会 一覧 | | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨 |
企画集会 T10 -- 3月16日17:30-19:30 K会場
生物地球化学という比較的新しい研究分野では、陸域生態系は、独立栄養生物(植物)・土壌・従属栄養生物(微生物・動物)の間の生元素(炭素、窒素、リン等)循環系として捉えられ、系を特徴づけるプロセス研究が重要視される。この学問の進展により、従来の植生と立地条件といった静的、記載的な対応関係の把握から、土壌風化、貧栄養化、生物の適応といったプロセスを考慮した動的な生態系理解へと、発展しつつある。
熱帯降雨林生態系を対象とした多くの研究は、生物学的側面のものが多く、その著しい生物多様性や高い生産性を支配する地球化学的な要因や、土壌を含めた生態系動態の研究は非常に少ないのが現状である。我々は、生物地球化学の理論や研究手法を取り入れることで、熱帯林生態系の理解は大きく深化する可能性があると考える。また、温暖化や土地利用問題に起因する環境変動に対する熱帯林生態系の応答を予測し、管理・保全に役立てるためにも、生物地球化学的アプローチは必須であろう。
この企画集会では、ボルネオ島の多様な熱帯林生態系を例に、近年の研究展開を紹介し、熱帯林生態系の今後の研究展開について参加者と議論することを目的とする。
[T10-1] 趣旨説明
[T10-2] 生物に適応を迫る土壌プロセス
[T10-3] 生態系の地上-地下プロファイルに沿ったCNP分布の非対称性からみた低地熱帯降雨林
[T10-4] 熱帯降雨林土壌における微生物活性のリン律速
[T10-5] リン利用効率からみた熱帯降雨林の空間変異
[T10-6] ボルネオ熱帯林における土壌の栄養塩利用環境の違いと植物の適応