| 要旨トップ | ESJ57 企画集会 一覧 | | 日本生態学会第57回全国大会 (2010年3月,東京) 講演要旨 |
企画集会 T13 -- 3月18日15:15-17:15 C会場
近年、全国各地で自然再生・保全の活動が実施され、生態学会でも盛んに議論がなされている。とりわけ、水田地帯における生物群集の保全・再生は第3次生物多様性国家戦略でも中核をなし、今や国家レベルから集落、個人レベルまで様々なスケールで事業が実施・展開されている。ところが、保全側と地域住民の対立や希少種の無配慮な放流、活動が長続きしないなど、課題も多い。
保全をより本質的かつ効果的に進めるには、調査研究を通じて生物間や周辺環境との「関わり」を知るだけでなく、実践に向けて行政や地域住民と生物との望ましい「関わり」方を模索するための取り組みや手法、さらには、実際に保全を効果的に行うための専門家や行政、NPO、地域住民といった異なる主体の「協同・連携」といった「関わり」のあり方を理解することも必要だろう。
そこで、本企画集会では水田地帯に生息する魚類の保全を対象として、現場に基づいた「ヒト・モノ・ココロ」の視点で地域に還元できる研究と地域での保全活動の関わりに向けた議論を展開したい。本集会の演者はそれぞれ専門分野・学会での研究活動のみならず、実際に各地域での保全活動に中心的に関わっている先鋭の若手研究者である。現場に立ち、地域住民・行政とともに保全活動に歩む中での成果や悩みなど、研究と保全活動との関係にも焦点を当てた多面的な実践報告を通じて、今後の保全へのシナリオを築いていきたい。
[T13-1] 生理・生態学的研究からみる魚類の水田への適応と成果の実践的応用 〜アユモドキを事例に〜
[T13-2] 遺伝的多様性からみるホトケドジョウの生息状況と個体群保全
[T13-3] GISを用いた水田域魚類の現実的な“保全工学”:絶滅危惧種カワバタモロコを例として
[T13-4] 水田生態工学の成果を行政に活かす方法とは?
[T13-5] 地域における水田利用魚類の価値を伝えるツール 〜ご当地田んぼの生き物図鑑作成のねらい〜
[T13-6] 研究者は「なぜ」・「どうやって」地域に入るのか? 〜「関わり」からみる保全研究・活動〜