| 要旨トップ | ESJ65 シンポジウム 一覧 | | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨 ESJ65 Abstract |
シンポジウム S06 3月15日 9:00-12:00 J会場
捕食・被食関係を通じたエネルギーの流れを明らかにすることは、水産資源の持続的利用、外来種や絶滅危惧種の個体数管理、生物による汚濁物質濃縮などの諸問題に対して、その解決に資する重要な知見を提供する。一次生産者が作った有機物がある生物へ届くまで、平均 x 回の捕食・被食イベントを経た場合、その生物の栄養段階(または栄養位置、栄養ポジション)は x + 1 と定義される。栄養段階は、その生物が食物網の中で占めるニッチ、または群集や生態系の構造を理解するための基礎的な指標として、古くから研究されてきた。栄養段階を推定する最新の方法論が、アミノ酸の窒素安定同位体比測定法である。生体内で起こる代謝反応は、タンパク質を構成する20種類のアミノ酸ごとに、あるいは生物ごとに、特徴的、あるいは普遍的な窒素同位体分別を引き起こす。この生化学的な現象を利用することで、さまざまな生物の栄養段階を、驚くほど正確に推定できることが、近年明らかになってきた。しかし、生態学研究への本手法の本格的な応用例は、まだまだ少ないのが現状である。そこで本シンポジウムは、本手法の原理と応用に関する研究において、第一線で活躍する演者を招き、生態学会で広く周知することを目的とする。 そして、本手法を用いた新しい生態学研究の可能性について、聴衆の皆さんと議論を交わしたい。
[S06-1] アミノ酸の窒素同位体比を用いた「生物の栄養段階」推定法
[S06-2] 捕食-被食におけるアミノ酸窒素同位体比変化の定量的理解
[S06-3] アミノ酸窒素同位体比から見る生態系におけるエネルギーフロー
[S06-4] 陸域-水域混合系の食物網で生物の栄養段階を推定する
[S06-5] 歴史標本から読み取る魚類の食性の長期変遷
[S06-6] アミノ酸窒素同位体比とアイソスケープを活用した、海産魚類の移動履歴推定
[S06-7] 栄養段階の情報を生態学者はどのように使えば良いか?