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企画集会 T09

始めよう!ベイズ推定によるデータ解析

企画者: 深澤圭太(横国大), 角谷拓(東大)

近年、ベイズ推定が生態学における有用な解析ツールとして認知されつつある。ベイズ推定の魅力の1 つは、背後にある不確実性や観測できないプロセスを明示的に取り扱うことで、データが持つ情報を最大限引き出せることである。このような高い自由度は、移動分散・観測手法の違い・階層構造など生態学でよくある複雑なデータを分析する際に大きな力を発揮する。しかし一方で、この高い柔軟性ゆえに分析を実行するためには、モデルの構造やパラメータなどの詳細な設定をユーザー自身で行なうことが必要となり、このことがベイズを用いたデータ解析を始める敷居を高くする一因にもなっている。

本集会では、生態学のフィールドで良くとられるデータタイプの一つである生物の空間分布データを扱い、空間的自己相関を考慮した移動分散の解析、複数のプロセスからなるモデルの推定など、ベイズ推定のご利益を実感できる実例とともに、その考え方と具体的な使い方をできるだけわかりやすく説明する。本集会での講演者は、いずれもベイズを使い始めて1 年未満の初学者である。講演者が経験した試行錯誤の経過なども紹介しながら、ベイズをこれから使い始める人が、一見難しそうなベイズ統計学も直感的な理解と試行錯誤によって十分身につけられる、と思えるような集会を目指したい。

なお、講演に先立って演者全員で準備したベイズ統計の考え方の概説を行なう予定である。

コメンテーター:

久保拓弥(北大)・島谷健一郎(統数研)

[T09-1] 階層ベイズモデルによる外来樹木アカギの分布予測 深澤圭太, 小池文人(横国大), 田中信行(森林総研), 大津佳代(日林協)

[T09-2] 空間自己相関モデルをもちいた花粉散布の空間パターン推定:ブナの花粉は本当に風で飛んでいるのか? *富田基史(東北大・院・農), 花岡創(岐阜大・院・農)

[T09-3] 空間自己相関を考慮した湿地における絶滅危惧植物の分布予測モデル *石濱史子, 小熊宏之, 武田知己, 竹中明夫(国環研)

[T09-4] 分布拡大するシカ個体群における分散速度のベイズ推定 山道真人(総研大)

[T09-5] ベイズキャリブレーションによる外来生物の分布拡大予測:セイヨウオオマルハナバチを事例に 角谷拓(東大)

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