| 要旨トップ | ESJ61 企画集会 一覧 | 日本生態学会第61回全国大会 (2014年3月、広島) 講演要旨
ESJ61 Abstract


企画集会 T24 -- 3月18日 9:30-11:30 G会場

琉球列島の生物相形成過程〜地史的プロセスから人間との関わりまで〜

企画者: 山本智子(鹿児島大学水産学部)

日本列島の南西約1000Kmに渡って大小約200の島嶼からなる琉球列島は、台湾と九州の間に点在する大陸島である。東洋区と旧北区という異なる生物地理区にまたがっており、プレートの沈み込みや地殻変動、海水面の上昇と下降などの地史的イベントによって、陸橋の形成と島嶼への分断を繰り返してきた。その結果、大陸からの種の進入と生息域分断による種分化のくり返しが、多様な生物相を生み出したと考えられている。中でも、トカラ列島南部を分断するトカラ海峡と沖縄島と宮古島の間にあるケラマ海裂では、長期に渡る分断があったと考えられ、隔離による固有種や遺存種を数多く生み出したとされている。また、同緯度の多くの地域が乾燥気候にある中、世界的にも珍しい亜熱帯湿潤気候という恵まれた環境もまた、高い生物多様性と独自性を維持する要因だったかもしれない。そしてこの生物多様性は、長期にわたって人間社会からの介入を受けつつ維持されてきたという注目すべき側面を持っている。

島という特性やこれまでの歴史から、人為的攪乱に弱そうで強そうで弱いかも・・・というこの生態系が、世界自然遺産登録に向けて注目されている。そこで今回は、この地域を対象に、空間的時間的に異なるスケールの事象を扱った研究をご紹介いただき、この地域の生物相の形成プロセスを概観するとともに、保全に向けて必要な情報は何かについても議論したい。

[T24-1] 奄美群島の植物相の過去と現在  宮本旬子(鹿児島大学理学部)

[T24-2] 北部琉球列島における陸産巻貝の系統分化  冨山清升(鹿児島大学理学部)

[T24-3] 琉球列島の両生類相とその遺伝的分化  富永篤(琉球大学教育学部)

[T24-4] 奄美・沖縄の環境ガバナンスの歴史:ジュゴンとソテツを例として  安渓貴子(山口大学医学部)


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