| 要旨トップ | ESJ65 シンポジウム 一覧 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


シンポジウム S07  3月16日 9:00-12:00 A会場

国際協力で推進する,北海道-東北アジアの植物多様性の成立過程解明と希少種保全

中村剛(北大・FSC・植物園),冨士田裕子(北大・FSC・植物園)

日本最北の北海道には,北半球高緯度地域に起源する北方系の日本稀産種・固有種や高山植物が多く生育する.一方で,北海道は日本で最も絶滅危惧種の分布密度が高い4地域の1つである(他は南西諸島,小笠原諸島,中部山岳地域).そのため,日本の植物多様性の成立過程を明らかにし,また,その保全を図るうえで,北海道の植物研究の発展が不可欠である.しかし,北海道と植物相の関連が強い北東アジア(とくに極東ロシア)との間には,学術交流の不足に起因する植物分類の混乱や,野外調査・研究試料の入手に関する障壁がある.また,国境という非生物学的な枠組みにより北海道(国内)のみを対象として希少性の評価と保全活動が行われ,グローバルな枠組みによる種の希少性の評価と効果的な保全がほとんど行われていない.これらの課題に対応するには,北海道と北東アジア諸国の間で,国際共同研究の体制を確立することが不可欠である.
本シンポジウムの目的の一つは,北海道および極東ロシア,中国東北部,朝鮮半島,アリューシャンなどの北方系植物を対象とした,分類や生物地理などの植物多様性研究と保全研究・実践の現状と課題を明らかにすることである.二つ目の目的は,極東ロシア,中国東北部,韓国,北米のカウンターパートとなる研究機関や当地のフィールドワークの様子を紹介し,北東アジアの北方系植物について国境を越えた研究の推進を図ることである.

[S07-1] 日露中韓の国際共同による,北海道希少種の分類・生物地理研究と保全 中村剛(北海道大学北方生物圏フィールド科学センター植物園)

[S07-2] 北海道において高山植生の分布型組成が示唆すること 佐藤謙(北海学園大学)

[S07-3] 日本の北方の植物相-北海道・千島・カムチャツカ 福田知子(三重大学教養教育機構)

[S07-4] 分子データから見えてきた東北アジアにおける高山植物の生物地理 池田啓(岡山大学資源植物科学研究所)

[S07-5] 夕張岳をはじめとした生物多様性ホットスポットに分布する高山植物の研究 村井良徳(国立科学博物館植物研究部)

[S07-6] 韓国における北方系植物・希少種研究と国際共同研究について Chan-Ho Park(National Institute of Biological Resources, Korea)


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