| 要旨トップ | ESJ66 自由集会 一覧 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


自由集会 W01  3月15日 17:00-18:30 Room A

植物にはなぜ多様な性表現がみられるのか?–実証研究が果たす役割–
Why are there various sex expressions in plants? –the role of empirical research–

柴田あかり(北大・環境), 大矢樹(大阪市立大・理)
Akari Shibata(Hokkaido Univ.), Itsuki Oya(Osaka city Univ.)

被子植物には多様な性表現がみられる。被子植物種の約70%は両全性(両性花のみを持つ)をとり、その他の性表現は少数派である。この理由として、固着性の植物にとって両性個体は単性個体より繁殖機会を増やすことができるためと考えられている。一方で、個体としては両性でありながら、個々の花レベルでは多様な性表現をもつ植物もある。個体内に異なる性の花をもつ性表現、あるいは集団内に異なる性の個体をもつ性表現は、どのような条件で創出され、維持されるのか?性表現の進化については古くから研究されているが、モデルやビッグデータを用いた研究が多く、考察の域を出ないものが多い。本集会ではこれまでの研究の不足点を明らかにしたうえで、野外での実証研究を紹介するとともに、今後の実証研究の果たす役割と求められるアプローチを提案する。
 本集会での話題提供の概要は以下のとおりである。1. 同一個体に両性花と雄花をつける雄性両全性同株植物の研究(勝原)。 2. 結実能力の低い両性個体が存在する不完全な雌雄異株性の維持機構(柴田)。3. 両性個体と雄個体で個体群を構成する雄性両全性異株性の起源(菅原)。4. 固着性であるにもかかわらず雌雄に分かれる不利を補う雌雄異株植物の生態特性(大矢)。5. 雌雄異株性と島嶼分布の結びつきの意味(渡邊)。また、本集会では岡崎純子氏(大阪教育大)をコメンテーターに迎える。

[W01-1]
雄性両全性同株植物ツユクサにおける可塑的な雄花生産 勝原光希(神戸大・発達)
Plastic production of staminate flower in andromonoecious Commelina species Koki Katsuhara(Kobe Univ.)

[W01-2]
ナニワズにおける不完全な雌雄異株性 –両性個体の結実能力はなぜ保たれているのか– 柴田あかり(北大・環境)
Incomplete dioecy in Daphne jezoensis (Thymelaeaceae) –Why are low-fruiting hermaphrodites maintained? Akari Shibata(Hokkaido Univ.)

[W01-3]
ムニンハナガサノキ(アカネ科)における雄性両全性異株性とその進化 菅原敬(首都大)
Androdioecy and its evolution in Gynochthodes boninensis (Rubiaceae) Takashi Sugawara(Tokyo metropolitan Univ.)

[W01-4]
雌雄異株樹木の生態特性 –雌雄異株樹木はどのように繁殖の不利を補うのか?– 大矢樹(大阪市立大・理)
The ecological traits of dioecious trees –How do they compensate for their reproductive disadvantages? – Itsuki Oya(Osaka city Univ.)

[W01-5]
島の植物に雌雄異株が多いのはなぜか? 渡邊謙太(沖縄高専)
Reason for the high proportion of dioecious plant species on Islands Kenta Watanabe(NIT, Okinawa KOSEN)


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